第2話 命名会議
子猫を引き取ることが決まり、優秀なるアシストを決めたペットショップのオーナーから、子猫の食事の好みや躾の具合などを確認した。特に食事は大事だ。ドライフードは食べるようになったばかりらしく、小さめの猫缶を指さして、これを混ぜて食べやすくしていると教えてくれた。
急に生活環境が変わるのだ。せめて食事位は慣れたものがいいだろうと、指定の猫缶を数個程購入して、子猫を連れて帰った。
始めの頃はおそるおそる家の中を確認して回る子猫の様子を見ながら、命名会議を母と始めた。しかし、これが互いに挙げる候補にケチをつけて、なかなか決まらない。
みーちゃん、前の猫と同じ名前はいかがなものか。
トリン、よびづらい…即否定。
マリン、なんかイメージ合わないetc…etc…
最後にはいい加減になって、カリンがあがったところで母が可愛い名前だと賛成したことで、ようやく名前が決まりかけた。
カリン・・・よくよく考えたら、ドラゴンボールに出てくる猫仙人様も同じ名前だったような?
友人に話せば、いじられそうな気にもなって迷い始めた。
いや、ここで変えようものなら、また長々と会議が続いてしまうではないか。グズグズと迷い始めた私をよそに「カリンちゃん。可愛いじゃん」と母は声を躍らせている。なんなら、子猫にその名で呼びかけてもいた。
我が家最長寿の猫と似た毛柄の子猫、ドラゴンボールのカリン様も800歳以上という設定の長寿キャラ。ここはその長寿にあやかってみるのもいいだろう。ただ、そのカリン様が白猫だということは、この際、棚に上げてしまおう。
なんとか無事に名付けたからと言って、子猫はすぐにカリンという名を理解する訳もなく、呼びかけられたとしても、きょとんとした目をこちらに向けてくる。子猫が自覚するまで、気長に呼びかけるしかない。
おやつには猫用ミルク、食事は猫缶を混ぜたドライフード。これらを食べさせる時にカリンの名を呼ぶのだが、子猫自身はその自覚もなく美味しいものの匂いに釣られて、駆け寄ってくる。
それでいい。それでいい。私にはちょっとした計画がある。慣れてきたら、猫にお座りを覚えさせてやるんだ。それはもう少し先の楽しみにしよう。
そんなことを心の中で呟きながら、食事をしているカリンを見守った。
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