第27話 ゾフィー女王の処刑とセリアの悲劇

 翌朝、オーガは上機嫌で朝食に来る。ディートハルトはアリソンの姿がないためオーガに聞く。

 「オーガ、アリソンはどうした。」「寝ているぞ。寝させてくれないから徹夜をしてしまったぞ。」

 「お前が寝させなかったのじゃないのか。」「いいや、何度も求められて楽しかったぞ。」

 「アリソンは嫌がっていただろ。」「俺様は女に優しいからな。すぐに俺様の虜だ。」

 「そ、そうなのか。」「リース様、俺様のテクニックを見ていましたよね。どうでしたか。」

 「気づいておったか。勉強になったぞ。」「リース、いないと思ったら、のぞきに行っていたの。」

 「お前様、のぞいてはおらん。気配を消して部屋に入って堂々と観察しただけじゃ。」「そうか、のぞいてないのならいいよね。」

ディートハルトは頭痛を感じる。昨夜はあんなに心配したのに何だったんだ。

 みんなが揃うとロックが言う。

 「この後、ゾフィー女王の処刑を行う。民衆が先走らないように気を付けてくれ。」「石を投げるくらいは大目に見てやってください。」

ディルクが言う。フールが補足する。

 「ゾフィー女王を街中を引き回す時、ゾフィー女王に民衆を近づけてはいけません。中には自分の手で復讐しようとする者がいるかもしれません。」

みんな、フールの言葉にうなづく。

 ゾフィー女王がホブゴブリンに牢から連れ出される、彼女はボロの服を着せられ、裸足になる。さらに両手を荒縄で縛られてつながれ、鎧を着たオーガに引きずられるように歩く。

 オーガの前には馬に乗った四天王が先導して次に馬車に乗ったロックとリースが続き、その後ろを馬に乗った中西とヤコブ隊長がいる。

 その後ろを徒歩のオーガに縄で連れられるゾフィー女王が裸足で歩く。その後抑えを徒歩のゴブリン隊がする。

 ゾフィー女王は屈辱で口元が震えている。しかし王城を出ると大勢の人々がゾフィー女王に罵声を浴びせる。彼女は民衆に恨まれていることを知る。

 途中で刃物を持った女性が彼女に向かってくる。すぐにゴブリン隊が取り押さえるが女性は憎しみの目を向けて叫ぶ。

 「私の夫を返してー」

ゾフィー女王は「そんなことは知らない」と言い返したかったが、恐怖で体がすくんで声が出ない。民衆がゾフィー女王に向けて物を投げ始める。石が頭に当たって血が出る。

 人々はそれを見て笑う。今度は卵が当たって服を汚す。泣き出したいが耐える。ナイフが飛んでくるがゴブリン隊が素早く動いて剣で叩き落とす。

 とうとうゾフィー女王は腰が抜けて地面に座り込み、泣き出す。

 「私がみんな悪いのか。何もしていないぞ、やったのは兵たちであろ。」

ゾフィー女王の言葉に怒りの罵声が飛ぶ。さらに石が投げつけられる。オーガは構わず引きずって行く。両足が傷つき血が流れる。行列は街の大きな通りを一周して王城前の広場に着く。

 広場には火刑の用意がすでにされている。ゾフィー女王は柱に縛る付けられる。そして、泣き叫ぶ、すでに心は折れていた。

 「いやじゃ。助けて。何でもする。謝罪もする。もう痛いのはいやじゃ。」

民衆は歓声を上げ始める。

 「殺せー。」「早く火をつけろ。」「悪女を殺せー」

ゾフィー女王泣き叫ぶにつれて、歓声は大きくなる。ロックが合図すると柱の根元に配置された乾燥した草が混ざった木に火がつけられる。乾燥した草が混ざっているため一気に燃え始める。

 民衆が喜びの声を上げる。ゾフィー女王は悶え苦しんだが、しばらくして動かなくなる。ロックが民衆に宣言する。

 「バシュラール王国はこの炎から生まれ変わる。僕がこの国を変えよう。君たちが笑って暮らせる国にして見せよう。」

 「いいぞ、勇者様ー」「ロック、ロック、ロック、ロック、ロック、ロック・・・」

ロックコールの中、ロックたちは城に戻る。城に戻るとフールがロックに言う。

 「見事なタイミングでの演説でした。」「なんか、何か言わないといけないと思ったんだ。」

 「これで女王の死は無駄にならないでしょう。」「でも、作るのはバシュラール魔王国なんだよね。」

 「大丈夫です。豊かな国になれば文句は出ません。」「僕が魔王か。」

ロックは魔王になることには納得していないが、みんなに担ぎ上げられている以上、責任は果たさなければならないと考えている。


 午後になり、セリアが、ホブゴブリンによって牢から引き出される。セリアが連れられて行ったのは姉のアリソンの部屋だった所だ。部屋には侍女たちが待っていた。

 そして、部屋の中に豪華なピンクのドレスと数多くの装飾品が置かれている。装飾品はどれも宝石が散りばめられ高価な物ばかりだ。

 侍女たちは黙って、セリアにドレスを着せる。彼女は侍女に質問する。

 「これから、何が起きるのですか。」「答えられません。」

 「私の言うことが聞けないの。」「もうあなたはあるじではないのですよ。」

侍女たちは辛そうな顔をする。セリアは不安になって来る。次に装飾品をつけられる。数多くの装飾品がセリアに付けられる。

 「こんなに付けたら、かえって下品ですわ。」

セリアは抗議する。侍女たちが口を押えて泣き出す。いったい何が起きるの。だんだん不安が大きくなる。着付けが終わるとセリアはホブゴブリンに城門に連れられて行く。

 城門には、ロックやディートハルト、ヨーゼフ、アデリナ、ティアナたち知った顔がいる。セリアはディートハルトたちに言う。

 「今から何をするの?」

ディートハルトたちは顔を背けて何も言わない。ロックが前に出て大きな声で言う。

 「セリア・ド・バシュラールを王城から追放する。」

セリアは驚いて叫ぶ。

 「どこへ行けというの。城から出たことなんかないのよ。」「好きにするがいい。」

城門は開かれる、外には民衆が集まっている。セリアは大勢の人に震えあがる。セリアは勘で民衆に悪意を感じたのだ。

 「いやよー、やめてー」

ボブゴブリンが槍を突き付ける。セリアは仕方なく、歩き出す。民衆な中から声が聞こえる。

 「高価な物を身に付けているぞ。」「売ればしばらく遊んで暮らせるな。」「よく見れば、いい女だぜ。」「おまえ、ロリコンだからな。」

セリアは突然、城壁に沿って走り出す。民衆が追いかけて、セリアは捕まる。

 「この王冠は俺のものだ。」「私に渡しなさいよ。」

セリアに人々が群がる。すると男たちが群がっていた人々を暴力でセリアから引きはがす。男たちは10人いた。

 「この女は俺たちのものだ。宝石も返しな。」

男たちは転がっている人々にけりを入れて、装飾品を回収する。男たちは言う。

 「お前たちはそこで見て楽しむんだな。」

男たちはセリアのドレスを力づくで引き裂き脱がせ始める。セリアは泣き叫ぶ。

 「許してー、お願いよー」

セリアは全裸同然になると男たちはいやらしい目で嘗めなめ回すように見るとそのうちの1人が覆いかぶさって来る。セリアは恐怖で声が出ない。

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