第28話 ロックの国の問題
その時、少年が
「辞めないか。金目のものも返してやれ。」「だれだー、じゃする奴は。」
男たちが見るとマントを羽織った。少年が立っている。男たちは言う。
「この女は、勇者様が俺たちに与えてくださったものだ。俺たちの自由にしていいんだよ。」「その勇者は失格だな。勇者タダツグが相手をしよう。」
「勇者タダツグは死んだんじゃないのか。どちらにしろロックにやられた奴だ。大したことねーよ。」
1人目の男がタダツグに殴り掛かるが腹に右こぶしを入れられ失神する。今度はタダツグの両側から殴るかかる。タダツグは上に飛び上がると体をひねって回し蹴りを2人の男に入れる。
2人の男は顎を砕かれて倒れる。残った男たちはタダツグがかなり腕が立つことに気づく。
タダツグは残りの男たちを睨みつける。すると男たちはやばいと思い逃げ出す。さらにタダツグが人々を睨みつけるとブーイングが起こる。人々の反感を買ったのだ
「偽物の勇者のくせに何してくれるんだ。帰れ、帰れ、帰れ、帰れ、帰れ、帰れ、帰れ、帰れ・・・・」
タダツグは剣を抜く。するとさすがに民衆も去り始める。タダツグはセリアにマントをかけて言う。
「他の国へ行け。それだけ高価な物があれば生きていけるだろ。」「助けてください。人が怖いのです。タダツグ様しか頼る人がいないのです。」
「僕は修行をしているから、君の面倒は見れないな。」「ついて行くことを許してください。」
「勝手にすればいい。助けないぞ。」「はい、ついて行きます。」
セリアにとってすがる人はタダツグしかいない。意地でも離れないと決める。タダツグはバシュラール王国の終わりを見届けに来ただけだったが思わずセリアを助けてしまった。
その結果、大変なお荷物をしょい込むことになってしまった。タダツグは強くならなければならないのだ。勇者としてロックに勝ちたいと思っている。
化け物のように強いロックに勝つために、おそらく死ぬような修行をすることになる。セリアは修行に邪魔に思える。
タダツグはオルドビスの森へ向かう。セリアがおいて行かれないようについて行く。それをフールの使い魔の小人が見ている。
フールはロックに報告する。
「セリアは予定通り民衆に襲われましたが、勇者タダツグが助けました。」「セリアはどうしている。」
「タダツグについて行く模様です。」「生き延びたか。」
ロックは内心ホッとする。ディルクの案を認めたが娘たちまで殺す気はなかったのだ。リースが目ざとく心を読んだようにロックに言う。
「お前様、アリソンとセリアが生き残ってよかったと思っていませんか。」「今、心読んだ?」
「お前様、バシュラールの血筋は絶えたほうが良いと思いますわ。」「2人を殺せというの。」
「ええ、いつ牙をむくかわかりませんわ。」「そうなったらつぶせばいいよ。」
「きっとアリソンはオーガをけしかけるはずですわ。」「オーガなら正面から戦いを挑んでくるよ。」
「良いのですか。」「僕は魔王になるのだから、それくらい勝てなきゃいけないよ。」
「お前様の言う通りですわ。」「なら、これでいいね。」
「良くありません。」
中西とディルクが声を合わせて言う。
「私の復讐はどうなるのですか。」「民衆は納得しませんよ。」「中西さんそろそろ前を向きませんか。」
「私と一緒だった者は森で非業の最期を遂げているんですよ。」「中西さん、バシュラール王国は女王の火刑で燃え尽きたのです。もう復讐はいりませんよ。」
「そうかもしれない。だが、あの娘たちが残っている。」「向かって来れば、倒すだけです。新しい国を財務大臣として支えてください。」
「そうですね。とりあえず仕事の準備を始めます。」「お願います。」
「中西さんを言いくるめましたね。」「ディルクも仕事がうまくいけば、民衆は納得するよ。」
「効果が出るのは食料が不足する冬になってからですよ。私はセリアを民衆の空気抜きに使うつもりだったのですよ。」「民衆の苛立ちは勇者タダツグが引き受けてくれるよ。」
「まあ、今さらロック様に言っても仕方ありません。そいうことにしておきます。」
ディルクの仕事は早かった。すぐに町の通行料無料の話が民衆の間で話題になる。ディルクは次に食料の村への分配量を中西と打ち合わせを始める。
ディートハルト、ヨーゼフ、アデリナと兵たちは訓練するためにグラムとパイロウス、フールともにオルドビスの森へ帰る。
ロックは国を立ち上げるために法律の整備などを行う。その中で貴族と言う身分制度が邪魔になる。中にはバシュラール王国の運営にかかわっていた者もいるためうかつに手を出せない。
もし、今、彼らにやめられたら国の立ち上げどころではなくなる。はっきり言って人材不足なのだ。
ロックは、中西に使用人の中で使える者がいれば自分の部下として使うように指示する。ディルクには宰相や法務大臣に向かい入れる人材を見つけて欲しいとお願いする。
ロックは忙しくても、エスリムとの回避の訓練とリースの剣の訓練は怠らない。リースが休憩の合間にロックに聞く。
「お前様は、人材を探しておるようですが、人材不足か?」「国を運営しているのは貴族たちです。僕たちは貴族制度を変えなければなりません。」
「そうだが、力づくで言うことを聞かせればよいわ。」「それではダメです。積極的に動いてくれる人材が必要です。」
「我は部下に四天王がいるだけだったが彼らではだめかしら。」「もちろん、軍事力と言う点では優れています。しかし、民衆のために誰が動くのですか。」
「確かにいないのう。中西とディルクだけでは無理があるわ。」
リースも問題を理解する。ロックの配下は強さを求める者たちばかりなので気づいているのは、中西とディルクだけだろう。
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