第14話 ゴブリンとの試合
ロックは、エスリムの周りを走る。彼にとって足の速さは最大の武器である。300キロの甲冑を着ているがそれを感じさせない動きをしている。
エスリムの水の斬撃が襲って来るがロックの早さに追いつけない。ロックはエスリムの水の斬撃の弱点に気づいていた。水の斬撃は連続して出せないのである。
斬撃を出すと次まで2秒の隙が出来るのである。これが1カ月近くエスリムと訓練して分かった攻略のヒントだ。
ロックは水の斬撃が襲って来るのと同時にエスリムの懐に飛び込む。水の斬撃が300キロの甲冑ごとルックの左腕を切り落とす。エスリムは次の攻撃の準備に入っている。
それでも突進はやめない。ロックの右手がエスリムの胸に届く。エスリムは攻撃をやめてロックに言う。
「婿殿、女の胸を触る時には優しくしないとだめですよ。」「はあ。」
ロックは甲冑を着ていたので胸の感触は分からなかった。フールが、ロックの左腕をヒールする。フールがロックに言う。
「これで回避の訓練は合格しましたね。明日から剣技の訓練を始めますよ。」「僕は、剣をディートハルトにならっているけど。」
「いいのですか。教えるのはリース様ですよ。」「リースが教える・・・」
ロックの頭の中でリースが優しく、手とり足取り教えてくれる光景が頭に浮かぶ。いい、それいい。頭の中はお花畑になる。
フールは、リースのことを剣姫と呼ばれ、知っている限り最強の剣の使い手だとか説明していたが、ロックの耳に届いていなかった。
翌日の午前中、ロックは、エスリムと訓練をする。エスリムは水の斬撃の早さを上げてきた。それでも十分対応できて、胸を触ることに成功する。
ロックは前日、エスリムに胸の触り方を注意されたのでそっと触った。エスリムがロックに言う。
「婿殿、今日は完璧です。よくできました。」「ありがとうございます。」
ロックは褒めれれて少しうれしかった。午後になり、ロックはリースの所へ行く。リースは、中西とゴブリンたちの訓練もしている。リースはロックに言う。
「お前様、まずは型を覚えましょう。」「それはディートハルトに教えてもらったよ。」
「では、やって見せてください。」「分かった。行くよ。」
ロックはディートハルトに教えてもらった型を行う。するとゴブリンたちの中から笑い声がする。
「なんだそれ。腰が入っていないぞ。」「おもしれー」
その声にリースが反応する。
「今、笑った者とヤジを飛ばした者は出てきなさい。」「どうするんですか。」
「この方と戦ってもらいます。」「俺たちが勝っちゃうよ。」
「勝ったなら笑えばいいです。負けたなら謝罪しなさい。」「分かりました。」
ゴブリンが9人出てくる。
「お前様もいいね。殺さないように注意するんですよ。」「9回も戦うの。」
「いいえ、一度に相手をしてもらいます。」「ちょっと多いよ。」
「お前様には楽勝ですよ。」「頑張ってみます。」
ロックはゴブリン9人と木剣で勝負することになる。勝負がリースの合図で始まる。ゴブリンたちは一斉にロックに飛び掛かる。ロックはかわそうとして構える。
しかし、ロックにはゴブリンたちの動きがゆっくりに見れる。エスリムの水の斬撃とは大違いである。何だこれ、楽勝じゃないの。ロックは前に歩みを進めてゴブリンの後ろに回る。
ゴブリンが振り返った所を3人の額を木剣で軽く殴る。殴られたゴブリン3人はひたいから血を出し昏倒する。
ゴブリンたちは何が起こったかわからない。ロックの姿が消え、みんなが振り返ったら、3人が三連撃で殴られ倒れたのだ。残ったゴブリンたちはロックから距離を取り構える。
ロックは攻撃してくることを待ったがゴブリンたちは構えたまま動かない。ゴブリンの構えは隙だらけに見える。いくらでも打ち込めそうだ。
「僕から行くよ。」「ひっ・・・」
ロックは木剣を狙って打ち込む。ゴブリンの持っていた木剣が折れ、ついでに木剣を持っていた両手も複雑骨折する。ゴブリンの動きはゆっくりで余裕で打ち込むことが出来る。
6人のゴブリンは木剣を折られ、両手を骨折する。
見ていた中西とゴブリンたちは驚く。ロックの動きは何とか目で追えるほど早く、木刀の打ち込みも鋭く正確だった。彼らは絶対にかなわないと思う。
9人のゴブリンはフールがヒールする。リースは9人のゴブリンにロックへの謝罪をさせる。リースはロックに言う。
「お前様、何をしていたの。」「僕は、ゴブリンと試合をしただけだよ。」
「なぜ、一瞬で終わらせないの。」「えーっと、ゴブリンの動きがゆっくりだからどうしようかなーと。」
「全力を出さないと失礼ですよ。」「これから、そうするよ。」
中西とゴブリンたちは、リースとロックの会話を聞いて青くなる。ロックはあれだけ超人的な動きをしていて、まだ本気ではなかったのだ。
ロックは体に染みついている剣の型をリースに徹底的に矯正される。中西とゴブリンたちが試合訓練をする中、剣の型の訓練が続く。
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