第13話 新しい勇者の召喚
中西とゴブリンの訓練が始まる。中西には10キロの甲冑、ゴブリンには20キロの甲冑が与えられる。グラムのメニューはひたすらに東側の坂を駆け上がることである。
中西は息が上がってくるがふんばって走り続ける。ゴブリンも黙々と走っている。午前中の訓練が終わるとフールが中西とゴブリンをヒールする。
グラムは午後も同じメニューを指示する。中西がグラムに質問する。
「剣の訓練とかはしないのですか。」「今は基礎体力をつけます。中西さんの場合、今の実力は10キロの甲冑です。50キロを着られるまで続けます。」
「分かりました。50キロの甲冑をこなしたら剣の訓練をしてくれますね。」「もちろんです。」
中西は10キロの甲冑を着る。そして、ひたすら坂を駆け上がる。中西を動かしているのはバシュラール王家に対する復讐心である。
ゾフィー女王は、魔術師を集めた部屋で召喚の儀式を続けている。魔術師が魔力をこめると魔法陣が光出し、空気が震え始める。光はまばゆくなり、空気は渦を巻く。光は急に消え静かになる。
魔法陣の中には10歳代後半に見える男が立っている。ゾフィー女王が魔術師に聞く。
「どうじゃ。良さそうな気がするが・・・」「高い能力値を持っています。成功です。」
「よくやったぞ。新たな勇者の誕生じゃ。」「おめでとうございます。」
「そち、名をなんと申す。」「俺、
「タダツグよ。そちは選ばれし勇者じゃ。我が国を救ってくだされ。」「関係ないです。帰してください。」
「それは我々ではできません。」
魔術師が言う。
「勝手に呼んでおいてどうしてくれるの。」
ゾフィー女王が兵に命令する。
「勇者パーティーを呼んでくるのじゃ。」
タダツグがごねているとディートハルト、ヨーゼフ、アデリナ、ティアナが来る。
「タダツグよ。そちの仲間じゃ。」「仲間?」
タダツグは振り返ると美人で少し胸が大きいお姉さんのティアナに目が釘付けになる。
「俺、考えてもいいかも。」「何と、希望はなんじゃ。」
「そこのお姉さんと付き合いたい。」
タダツグはティアナを指さして言う。
「ティアナ・ド・リンデマンよ。今からタダツグと恋人同士じゃ。」「急に困ります。」
「もう決まったことじゃ。タダツグよ、ティアナはヒーラーじゃ、仲良くするのだぞ。」「ああ、分かっている。」
タダツグはティアナの手を取って言う。
「よろしくね。ティアナ。」
ディートハルト、ヨーゼフ、アデリナ、ティアナは部屋に戻ると相談する。
「あのませガキどうする。」「どうするも何も剣を教えて魔王を退治しに行くしかないだろ。」
「アンネリースとロックと戦うの?」「魔王と勇者が相手か。」
「生きているのかな。あのオルドビスの森だよ。」「きっと生きているわ。」
「ティアナはませガキとカップルでしょ。」「やめてよ。」
「まだ、ロックのこと好きなの。」「・・・・・」
「困ったわねー」「とにかく明日から剣を教えるよ。」
ディートハルトたちは、アンネリースとロックと戦うことに抵抗を感じていた。
タダツグの剣の才能は高く1か月で剣の腕をディートハルトに追いつく。
その頃中西は50キロの甲冑を克服し、ゴブリンは100キロの甲冑を克服していた。そして、リースの剣の訓練が始まる。リースは魔王と呼ばれる以外に剣姫の異名を持っていた。
リースは中西とゴブリンに午前中は基礎体力の訓練を課し、午後はひたすら剣の基本の型を練習させる。中西とゴブリンたちは自然に剣の型をすることが出来るようになる。
次にリースは打ち込みの訓練を始める。彼女は正確な重心の移動を求める。リースは中西に言う。
「中西さんは筋は良いのですが、剣に力が入りすぎです。」「どうしてもバシュラール王家のことを思い出してしまって、力が入ってしまいます。」
「許せとは言いませんが大きな心を持ってください。」「リースさんは悔しくないのですか、オルドビスの森に追放されたんですよ。」
「おかげで退屈な日々とはお別れできました。」「私にはまねできません。」
打ち込みが正確にできるようになると試合訓練を取り入れ始める。ここで中西とヤコブ隊長が剣の腕が際立った。中西は体力ではゴブリンにかなわないが正確な剣さばきがものをいった。
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