第4話 勇者パーティー
ロックとアンネリース、ティアナは、土の王グラムと戦ったところにたどり着く。グラムはゴーレムだった。そこにはマントを付けた女性が倒れている。魔法の杖は砕けてしまっている。
ロックは女性に声をかける。
「アデリナ、生きているか。」「死んでいます。」
「死んだ人は返事をしないよ。」「死にそうなのよ。ティアナ、ヒールして。」
「ティアナは魔力切れだし、フラフラだよ。」
ティアナは、何かぶつぶつとつぶやいている。アンネリースがアデリナに言う。
「ヒールを所望か。我にもできるぞ。」「聞かない声ね。だーれ。」
「リース、ただの魔族じゃ。ロックの伴侶になったからよろしく頼むぞ。」「えっ。」
アデリナが飛び起きる。当然、全身に痛みが走る。
「ぎやー、死ぬ、死ぬ。」
アンネリースがアデリナをヒールする。全身の痛みが嘘のように消える。アデリナはロックに言う。
「魔族と伴侶てどういうこと。ティアナはどうなるの。」「ティアナにはプロポーズされていたけどリースに惚れてしまったんだ。」
「あんた魔王アンネリースを倒したんでしょうね。」「勝ったよ。だから生きてここにいるんじゃないか。」
アデリナは頭痛がしてくる。そしてティアナのことが心配になる。
「ティアナ、大丈夫?」
見ると、フラフラして、何かつぶやいている。アデリナはこれは重傷だと判断する。
「とにかく魔王城から出ましょう。」
アデリナはティアナの手を引き、4人は、水神エスリムと戦ったところに到着する。エスリムは巨大なサンショウウオだった。
そこには戦士ヨーゼフが血を流しながら眠るように座っていた。ロックはアンネリースに言う。
「リース、ヨーゼフにヒールをかけてくれ。」「お前様、我は人間を助けなければならないのか。」
「今は君しかいないんだ。仲間を助けてくれ。」「お前様の願いだからのう。承知した。」
アンネリースはヨーゼフにヒールをかける。ヨーゼフの青かった顔色が良くなり、しばらくすると目を開ける。彼の目にはアンネリースが映る。
「ここは天国か。女神さまがおられる。わしは死んだのか。」「寝ぼけていないで周りを見なさい。」
アデリナがヨーゼフに言う。
「ロックにアデリナ、ティアナがいる。みんな死んだのか。」「私たちは生きているわよ。」
「では、目の前にいる女神さまは幻なのか。」「彼女はリース、僕の嫁だ。」
「ロック、嘘は良くないぞ、恋愛と無縁なのはよくわかっているからな。」「本当だ。信じてくれ。リースからも説明してやってくれ。」
「私はリース、ただの魔族でロックの伴侶です。」「ええええええええええええー、ロック良かったな。魔族とか言っていたが関係ないか。」
ヨーゼフがロックの肩を叩きながら涙を見せる。アデリナがヨーゼフに怒って言う。
「何が良かったよ。魔族なのよ。このまま、ニコル王に合わせるつもり。」「魔王は倒したんだろ。細かいことはいいさ。」
アデリナは目頭を押さえて首を振る。5人になったロックたちは、炎王パイロウスと戦ったところへ行く。パイロウスは炎のオオカミだった。
ここには、こんがり焼けた鎧の男が倒れている。アデリナは男に駆け寄る。
「ディートハルト様、ひどいやけどだわ。リース、お願い、彼を治して。」「我に口うるさい魔法使いがしおらしい態度で頼みごとをしておるのだが、お前様どうする。」
「アデリナはディートハルトが好きなんだ。ヒールをお願いしてもいいかな。」「お前様が言うのなら助けよう。」
アンネリースは、剣士ディートハルトにヒールをかける。やけどの痕はきれい消え、ディートハルトは目を覚ます。
「ディートハルト様、良かったー」
アデリナはディートハルトに抱き着く。彼は見渡してみんないることを確認するとロックに言う。
「魔王の討伐は成功したのだな。」「ああ、みんなで帰ろう。」
「ところでそこの美しい女性は誰だい。」「我はリース、ただの魔族で、ロックの伴侶だ。」
「魔族が・・・だが勇者ロックの伴侶では仕方ないかな。応援するよ。」「ありがとう。」
ロックは、リースのことをティアナとアデリナが承知していないが、ヨーゼフとディートハルトが応援してくれているのでアンネリースのことはごまかせると自信を持つ。
しかし、バシュラール王国は古くから魔族と敵対してきた。この世界に召喚されたロックが考えている以上に現実は厳しい。
ロックはアンネリースとのラブラブな生活を夢見て、勇者パーティーと共に魔王城を出る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます