第42話◇小雪と決着デート◇

◇◇◇


 日曜日。


 前の日には舞佳まいか初音はつね彩葉いろはと共にお泊まり会を催して一晩中セックスに励んだ。


 エロ同人スキルを駆使した4Pの快楽は素晴らしいものだった。


 彼女達それぞれに魅力があり、心の奥底に潜んだ性癖を引き出して快楽に染めるというのは大きな興奮を呼んだ。


 小雪こゆきとの約束は午前中の10時からなので、俺は引き留めようとする女の子達をなんとか説得しながら身支度を調えた。


「それじゃあ行ってくる。彩葉いろは、後を頼むぞ」

「ふにゃぁ♡ いってらっしゃいりょうくーん♡」

小雪こゆきちゃんのこと、お願いしますぅ」


「おう、任せておけ」

優奈ゆうなちゃんや小雪こゆきちゃんと一緒にエッチできるの楽しみにしてますね」

「ああ、みんな仲良くエッチしような」


 一晩中抱き潰した3人にいってらっしゃいのキスをもらい、小雪こゆきとの待ち合わせ場所に向かうのだった。


 ◇◇◇


 小雪こゆきはあまり遠出をできる体ではない。

 生まれつき体が弱く、学園生になるまで入退院を繰り返していた影響で体の成長が遅い。

 

 それ故に体力がないので、あまり多くの時間を外に連れ回すとトラブルが起きるだろう。


 だがやりようはある。

 どうやら霧島亮二はそれなりに金は持っているらしい。

 母親からもらった金は使わず、自分で捕まえた女に紐状態だった。


 その辺の人間関係の清算は既に済んでいるが、女からもらった金を随分と貯め込んでいたらしい。


「さて、小雪こゆきの準備は済んでいるかな?」


 小雪こゆきの家に到着し、インターホンを鳴らして応答を待った。


 やがて開いた扉の向こうから、ファンシーで可愛らしいお人形が魂を宿したかのようなお洒落をした小雪こゆきが姿を現した。


「おおっ。小雪こゆき、可愛いよ」

「えへへ、亮二お兄ちゃん、こういうの、嫌いじゃない?」

小雪こゆきの魅力をいっぱい引き出してるね。良く似合ってるから大好きだよ。まるでお姫様みたいだ」


 ニコニコ笑顔の小雪こゆきを見るのはゲーム後半になってから。

 まさしくそんな顔をしている彼女を見ていると、自分のやってきた事が正解であると確信できる。


「よかった……小雪こゆき、今日すごく楽しみにしてたの」

「俺もだよ。さあ、行こうか」


 モジモジする小雪こゆきに手を差し出し、恥ずかしそうにする彼女は怖ず怖ずと繋ぐ。


「お兄ちゃんの手、大っきくて温かい」

「体デカいからな。怖くないか?」

「うん、亮二お兄ちゃんなら怖くない」


 スキルの力恐るべしだな。知り合って間もない大男にここまで心を許してしまうとは。


 さて、楽しい楽しいデートの始まりだ。


◇◇◇


小雪こゆき、通学以外で電車に乗るの初めて」

「ずっと体が弱かったんだっけ」

「うん……」

「そうか。いっぱい頑張ったんだな。偉いぞ小雪こゆき


 髪型を崩さないように柔らかく頭を撫で撫でしてやる。撫で撫では好きな人からされることで最高のご褒美となるが、小雪こゆきにとってもそれは同じようだ。


「♡ お兄ちゃん、小雪こゆきのこと、いっぱい褒めてくれる。嬉しい」

「頑張ってるからな」

「亮二お兄ちゃん」

「うん?」

小雪こゆき、甘えん坊なの。今日は、いっぱい甘えて、いい?」

「いいとも」


 家から出かけてからずっと握り絞めている手をにぎにぎと揉んでやると、両手で包んで頬ずりしはじめた。


 こんな可愛い表情と仕草はゲーム内でも見たことがない。

 内容的には秋頃に起こるデートイベントの流れに似ているが、これはそれ以上に笑顔が満面だ。


 さて、まずは公園の散策から始めて2人の時間を楽しむ。

 

 ゲーム内イベントでも小雪こゆきの好きなデート先は静かな公園という事を知っている俺は、イチゴパフェが絶品のオープンカフェがある大きな公園をデートスポットに選んだのである。


小雪こゆき、イチゴパフェ食べにいこう」

「ふぁ♡ パフェ♡ いちごぱふぇ♡」


 小雪こゆきは体が弱かった影響で友達と出かけたことがほとんどない。


 そして彼女の大好物であるイチゴパフェはデートイベントの重要項目の一つだ。


 主人公が偶発的に小雪こゆきの好物であるパフェを奢ることで好感度が爆上がりするイベントがある。


 公園から少し外れた所にあるオープンカフェで食べるイチゴパフェが絶品であるというのは全てのヒロインで共通のデートイベントなのだ。


 特に小雪こゆきは好感度アップにおいて重要なイベントとなる。


 ゲームでは視覚的に好感度の上下を確認することはできないが、世の中には分析が大好きな人っていうのが一定数おり、どのイベントでどのくらい好感度が上がっているのか細かく検証している動画投稿者がいる。


 それによると小雪こゆきの場合がこのイチゴパフェが相当に重要なイベントであることが分かる。もっというならこの公園デート全体がそうだ。


「お兄ちゃん、小雪こゆきがイチゴパフェ好きなの知っててくれたの?」

「ああ。リサーチはデートの基本だからな」

「嬉しい♪ 小雪こゆき、デート、イチゴパフェ食べるの、夢だった……」

「よし、それじゃ頼むか」


 定員に注文をしようとカウンターに立つと、その視線が特大パフェに注がれている。


「大っきいのが食べたいのか?」

「う、ううん。小雪こゆき、そんなに……」

「そうか。まあ食べきれなかったら俺が食べるから、特大パフェ頼んでみるか?」

「いいの⁉」


 アニメだったら目の中にハートマークが浮かんでいるだろうな、この喜び様は。

 嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる小雪こゆきは本当に純粋無垢に大きなパフェが食べられることを喜んでいた。


 着席して待つこと十数分。やってきたのは抱えるほどの分厚くてデカいグラスに盛られたイチゴパフェだ。


「すごーーい♪ 大っきいパフェ~♡ すごいすご~い♪」


 この喜び方を見るだけでデートに来た甲斐があった。

 楽しくなってきたぞ。

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