白峰小雪 完全攻略
第41話◇次善策を打とう◇
さて、
主人公が邪魔してこないとも限らないが、ともかく2人の心を完全に俺のものにできれば、もう誰に
しかしあの主人公は何か変だ。あんな余裕のない奴だったのだろうか。
それともアレがあいつの本性なのか?
まあアイツの視点からすると、変わることのないと思っていた関係を横槍でかき乱して寝取っているようなものだからな。冷静ではいられないだろう。
何度もしつこいようだが、主人公がどうなろうと俺にとってはどうでもいい。
だがアイツを積極的に不幸にしたいとは思わない。
始めから想定していた事だ。
早いところ主人公にも幸せになってもらった方がいいかもしれない。
誰か適当な女をあてがって骨抜きにしてもらうか。
……そうだ。元の霧島亮二のセフレの中に童貞好きのビッチがいたな。
とんでもないセックス狂いだが、人間的にはそれなりに常識人だ(ただし表向きだが)。色んな方面に顔が利くので女を紹介してもらうのもいいだろう。
今となってはアレを抱く気にはならないな。
元の俺はビッチってちょっと苦手なんだ。
もっと言うならヒロイン以外とセックスしたくない。
愛のないセックスは嫌いだ。
だがヒロイン達との幸せの為には必要なことなら
一つ連絡してみるか。
皆には内緒にしないとな。なんとなくアレと会っている所を見られるのは抵抗がある。
◇◇◇
「連絡待ってたわよ亮二。最近ちっとも連絡よこさないし、心配してたんだから」
「すまんな。思うところがあって真面目に学園通ってるんだよ」
「え~珍しい。何か心境の変化があったのかなぁ?」
こいつの名前は
春色のスーツを着込み、いかにもOLという出で立ちの女。黒髪清楚でバレッタで結わえたハーフアップの髪型。
フワフワした雰囲気を持ち、柔和な目鼻立ちとむっちりとした体付きと。
男好きする要素を詰め込んだ典型的な清楚な姿。ただしビッチである。
こいつとの関係は、いわゆるヒモだ。俺はこいつに養ってもらっていたらしい。
もらっていた金を、亮二は半分くらい溜め込んでいたようで、俺の元にはそれなりに資金があった。
「すまんが思うところあってしばらく特定の相手以外とはセックスしたくなくなった」
「そんなぁ。亮二以上の相手なんて中々いないのにぃ」
「その代わり、お前に紹介したい童貞がいる」
「ほほう?」
「むぅ……この子は」
目の色が変わった。こいつとは良くも悪くも特別な感情を伴わない利害関係のみの繋がりだったようだ。
俺は主人公のことを話し、訳あって奴を幼馴染み達から引き離したいことを伝える。
「なるほどねぇ。君が自分のハーレムのために邪魔な男を排除したいって訳ね」
「
「きゃっははははっ! なにそれっ。その処女臭い女達が欲しいんでしょ」
「そうだ。価値観の違いだな」
「その童貞君の価値観を全部書き換えてほしいって事ね。分かったわ。でも、最後に1回、亮二を味わわせてくれたっていいでしょ?」
ちっ、抜け目がないな。
「そうだな、だがそれは成功報酬としてとっておけ。さっきも言ったが俺はできるだけ特定の相手以外とはもうしたくないんだよ。そいつのことが気に入ればそっちに力を入れてもらいたい」
「え~、私には確定した利益がないじゃない。童貞は好きだけど、短小じゃ体が満足しないからなぁ」
「まだアイツが短小と決まった訳じゃないだろ。もしかしたら俺以上かもしれんぞ。知らんけど」
「ふーん。まあいいわ。それじゃあそいつと接触して、女の味をたっぷり仕込めばいいのね」
「ああ。頼むぜ。それから適当に大人の女を紹介してやってくれ。恋に夢中になれば早く忘れるだろうからな」
「ふーん。まあいいわ。童貞が食えるのには違いないし、引き受けてあげる。ところでさ、一つ聞きたいことがあるんだ」
「なんだ?」
「……あなた、どちら様?」
「なに?」
「さっきからずーーーーーっと気になってたのよね。君、霧島亮二じゃないよね? 見た目はそっくりだけど、中身は別物。まるで人格が入れ替わったみたい」
鋭い……。少々ギクリとしてしまう。
果たして腹を割るべきか。霧島亮二の記憶から見るこの女は、表向き常識人の皮を被った清楚ビッチだが、気に入った相手には蛇のようにしつこく絡みつく地雷女だ。
弱みを見せれば付け込まれる非常に危ない女でもある。
本来地雷女とは依存体質の強い女を差す言葉だが、彼女が依存しているのは自らの欲望と快楽のみだ。
だが依存する先を見つければそっちに夢中になってくれる筈だ。
とはいえ、転生者であることを相手に伝えるメリットがあるとは思えん。
「何言ってるんだお前は。自分の吐いた言葉を繰り返してみろよ」
「ははっ、まあそういう反応になるよね。まあいいわ」
すんっ……というオノマトペがピッタリ合う能面のような表情に変わった恵美。
「もういいわ。例の童貞君で我慢してあげる」
「助かるよ」
よかった。どうやら俺には興味をなくしてくれたらしい。
そういう訳で主人公を清楚ビッチに任せることにし、俺は
後は吉報を待つばかりだな。
――――――――
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