小さな天使 白峰小雪

第33話◇小雪攻略セッティング◇

 さて、念願の初音はつねを手に入れた。残るターゲットは小雪こゆき優奈ゆうな。そして隠しヒロインの3人だ。

 

 隠しヒロインは本当に現われる保証はまだない。

 何しろ彼女は全員をクリアした後のデータでないと攻略対象にならないからだ。


 この世界がどの段階なのかを確かめるには、彼女がゲーム内に登場す5月のゴールデンウィークが明けてからになる。


 まあ今は考えなくてもいい。 

 まずは小雪こゆき優奈ゆうなを攻略することを優先させよう。

  

 彼女が登場する時期までに攻略キャラ全員を俺の女にしておく、なんて条件があったら目も当てられない。


 彼女達の攻略を急ぐとしよう。


 しかし、俺がこの世界に転生してまだ二週間も経っていない。


 この短い期間でヒロインを3人も攻略できてしまったことを喜ぶべきだろう。


 次なるターゲットは誰にするべきか。


 何か糸口になるゲーム内イベントなどはなかったかな……?


◇◇◇


 それから更に数日後。

 ヒロイン攻略の決め手もないまま日々は過ぎていき、間もなくゴールデンウィークに差し掛かろうとしていた。


 舞佳まいか彩葉いろは、そして初音はつねとのラブラブ生活はとても甘くてとろけるような毎日だ。


 特に彩葉いろはは近所なだけあって、毎日のように家に来て甲斐甲斐しく俺の世話をしてくれる。


 ゲーム内において彩葉いろは初音はつねの親友としての立ち回り以外に目立ったエピソードはなかった。


 幼馴染みとして霧島亮二を不良の道から救えなかったことを後悔し、その影を引きずっていた。

 

 その霧島が道を正した(ように見える)今、彼女が俺にかかりきりになるのは自明の理、ということか。


 さて、次なるターゲットは誰にするか。

 そんなことを考えながら、どうにか彼女達と接触しなければと思っていたある日。


「あの、亮二さん……」

「どうした初音はつね。何か言いたいことがあるなら遠慮なく言ってくれ」


 学園での休み時間、考え事をしていた俺の元へ初音はつねがやってきた。

 

 クラスは騒然としている。そりゃ強面の不良と清楚可憐な学園の美少女四天王が話していたら騒ぎにもなろう。


「実はちょっと相談があるんです。小雪こゆきちゃんのことなんですが」

「何かあったの?」

「はい、実は……」


 初音はつねによれば、小雪こゆきがこの頃少し元気がないらしい。

 おかしいな。この時期の小雪こゆきは体調が良く、選択肢次第では遊園地にでかけることすらある。


 体調が悪くなって入院をしてしまうイベントが秋頃にあり、彼女を攻略するために病院に足繁く通うことになるのだ。


「なるほど。何か理由があるのかな?」

「はい、体調が悪い訳ではないみたいなんですが、何か悩みがあるのかも……」

「幼馴染みは?」

小雪こゆきちゃんの様子には気が付いてないみたいです。小雪こゆきちゃんも気付いてほしくないのか隠してるから」

「なるほど。好きなお兄ちゃんにこそ気付かれたくない悩みか」


 やっぱり変だ。ゲームの流れとかなり違う。

 まあ俺がいること自体が既にゲームの流れからイレギュラーを作り出しているとしたら、イベントの順番が狂ったり、知らない出来事が起こってもおかしくない。


「どうだろう、気分転換に俺達で出かけてみないか」

「亮二さんと?」

「ああ。話を聞くにしても、俺は彼女と信頼関係がない。初音はつねになら懐いてるから……いや、この場合は優奈ゆうなの方がいいか」


「そうですね。小雪こゆきちゃんは優奈ゆうなちゃんに懐いてるし、2人とも亮二さんと仲良くしてくれたら私も嬉しいです」


 初音はつねには既にハーレム計画のことを話してある。

 そして喜んで協力すると言ってくれた。


 まあほぼ洗脳した後なので当然の結果ではある。


 それにしたってその反応の仕方は舞佳まいか彩葉いろは以上のものだった。


 小雪こゆきを攻略するときは初音はつねに同席してもらうのがいいだろうな。


 さて、そんなこんなで小雪こゆき優奈ゆうなと共に軽い食事会を初音はつねがセッティングし、俺もそこに同席させてもらうことになった。

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