第30話◇壁尻初音◇

「それじゃいくぞ」

「は、はい。お願い、しましゅ」


 緊張のせいか噛み噛みだ。俺は怖がらせないようにゆっくりと正面に回り、初音はつねの顔をのぞき込む。


「ふえぇ」

「大丈夫だ。俺がついてる。よいしょ」

「んっ、はうぅ」


 おお、やっぱり柔らけぇ。ムニュムニュのおっぱいの付け根部分はムチッとした脂肪がついており、俺は合法的に抱きしめた初音はつねの柔らかさをたっぷりと堪能した。


 必然的に顔同士が頬でくっつき合うことになり、俺と初音はつねはゼロ距離で密着する。


「はうっ」

「すまんな。確か男性が苦手なんだよな。ごめんな、俺で」

「い、いえっ。むしろ、霧島君で良かったというか……はぅ」


「そうか、それは光栄だ。せーの、よいっしょ」


 当然抜ける筈もないのは分かっているので、ゆっくりと力を込めて初音はつねを引っ張る。


 引っ張る方より彼女の柔らかさを堪能する方が意識の優先度が高いので、自然と抱きしめる力が強くなってしまう。


「うーむ、取れないな。角度を変えて、よいしょっと」

「ぁう、んんぅう」


 角度を変える振りをして初音はつねの顔を正面から横切る。

 あわや唇が触れそうな距離は当然わざとだ。

  

(おっ、パスが繋がった)


 すると、前回は一時的だった初音はつねとの心のパスが完全に繋がったことを自覚する。


 これは、彼女の俺に対する感情が一定ラインを越えたとみるべきか。


 確証はないが、妙に心の中でそうなのではないかという確信がある。


 本能的に理解できているという言い方をしてもいい。


「んぁ……んんんっ」

「抜けないな。後ろから引っ張って……いや、引っ掛かるか」

「はうっ⁉ は、恥ずかしいです」

「すまん、今のはデリカシーがなかったな」


 思わずセクハラ親父みたいな発言をしてしまった。

 初音はつねの場合、お尻も大きいがおっぱいはそれ以上に大っきいので引っ張るより押し込む方が良い。


「とりあえず後ろから押してみたいのだが、構わないか?」

「は、はい…やむを得ません……」

「すまん。後でお詫びに何かするから」


 そういって俺は意気揚々と壁の後ろ側に回り込む。

 合法的に初音はつねのお尻を触ることを許されるわけだ。


  

 むっちりと弾力のある尻。思わず鷲掴みにして乱暴に揉みしだいてやりたくなってしまう女の象徴。


 うーむ、たまらんっ!


「桃園、触るぞ」

「は、はい……お願いします……はぅうっ、んんっ♡」


(おお、すげぇ。おっぱいも柔らかかったが、お尻のモチモチ感と弾力は、また違った意味で極上だ)


 ヤバいな。実は俺、さくさくのヒロインで初音はつねが一番好みの女だったりする。


 だからかなりテンションが上がっている。

 今、俺には二つの欲望がせめぎ合いをしている。


 このままラッキーちゃーんす☆にかこつけて初音はつねの処女を頂いてしまうという案。

 もう一つはスキルを駆使して初音はつねを惚れさせ、ベッドの上で処女をもらう案。


 だが前者を選択すると初音はつねの初めては顔も見えない壁の中というあんまりなものとなってしまう。


 激しく奪うにしても、やはりベッドの上で処女をもらい受けるのが俺の好みだ。


 それに俺のポリシーもある。女の子にとって悲しい思い出にはしてほしくないのだ。


「でも尻コキくらいは許されるよね(ボソッ)」

「え? え? な、なんですか? よく聞こえないですぅ」

「いやいや、なんでもないんだ。もう一度押し込むぞ」


 危ない危ない。危うくR18展開になるところだ。


(おーい妖精さん。初音はつねのお尻はたっぷり堪能できたからそろそろ解放してやっておくれー)


『ラッキーちゃーんす☆はまだ続く。体育倉庫でラブラブ初体験ッ、はっじまるよーっ!』

 

 脳天気な声で俺の要望はガン無視され、しかして興奮するシチュエーションが提案されたことに勃起が強まってしまう。


 気が付くと俺達は薄暗い体育倉庫に二人きりの状態で移動していたのだった。

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