桃園初音 完全攻略
第27話◇距離を縮めよう◇
あれから数日。特段進展もないまま日常は過ぎていき、俺は次なるターゲットに狙うのは誰にするべきかの作戦を日々考えていた。
とはいえ、何もしてなかったわけではない。
その間にしたことといえば、髪色を戻すことだ。
この厳つい見た目は人を怖がらせるので、金髪ピアスをやめればある程度緩和できるだろうと
二人いわく、俺の目付きは以前と比べてかなり優しくなっているようだ。
「亮君格好いい♡ 厳ついヤンキーから優しい強面お兄さんに変貌だね☆」
「それ褒めてんのか?」
言い方はアレだが二人からは大分好評だった。週明けにその格好で学校に行ったらちょっとした騒ぎになったほどだ。
それから女関係の清算だ。
霧島には多くのセフレがいた。幸いにして犯罪めいた行動の結果に手籠めにされた者は既に関係が解消された後で、俺から何かする必要はなさそうだった。
レイプまがいの方法でセックスに持ち込んだ女の子もいたらしいので、俺の関係ないところで逮捕案件にでもなったら面倒だったから助かったぜ。
ただ、中には将来的に使えそうな奴もいたので、何人かの連絡先は残してある(そっちは犯罪関係なく普通にセフレ)。
こいつらはあまり積極的に使う気はない。
何か頼んだら絶対に見返りに体を要求してきそうだし、俺はヒロイン以外とそういう事はしたくないのだ。
そんな行動が幸運を呼んだのか、週の中程でヒロイン攻略のチャンスが巡ってきたのである。
「亮君その髪色も大分馴染んできたね」
「まだ三日だぞ?」
「昔に戻ったみたいで嬉しいんだもん」
いつものように電車通学での
俺達は主人公と鉢合わせするように時間を合わせているのだが、今日は主人公がいなかったのである。
「あ、ねえねえ亮君。少年がいないよ」
「本当だな。どうしたんだろ」
乗ってきたのは
ゲームシステムの調査もしたかったし、主人公達と彼女達の会話を聞けば、誰を攻略するルートに向かっているのか、ある程度絞れると思っていたのに……。
「せっかくだから皆と交流しておいたら? 私が繋ぎ役するから」
「
「えへへ。褒めて褒めて♡」
俺のハーレム攻略宣言以降、
積極的にしなくていいとは言ってあるが、やはりなにかせずにはいられないのだろう。
手駒としては非常に頼もしい限りである。
「やっほーおっはよう☆ 少年がいないようだけど、どうしたのかな?」
「あ、おはようございます
「一応食事の準備はしてきましたけど、帰りに寄ってみないと」
やはりゲーム内イベントは主人公がトリガーとなって起こると考えて良さそうだ。
このチャンスを逃す手はない。
それにしても体調不良で休むとは。天は俺に味方しているようだ。
彼女達3人に【警戒心解除】で心の距離を縮めてしまおう。
接触なしで心に種を植え付けられたら御の字だ。
このパッシブスキルの便利な所は、話せば話すほど心に俺という存在を植え付けることができるところだな。
「あ、そうだ皆。顔は知ってると思うけど改めて紹介するね。私の幼馴染みで霧島亮二君。ちょっと見た目怖いけど、優しい人だから安心してね」
「ぁ、えっと、佐藤
「気にしないでくれ。それに、君が謝ることじゃないだろう? 優しいんだな」
「い、いえ。幼馴染みですし、弟みたいな感じなので、つい」
「いい関係じゃないか。あの時も言ったが、俺の世間のイメージからすれば彼の反応は間違っていない。ついこの間まではそのイメージ通りの人間だったからな」
「うーん、それでもやっぱり彼の言い方は良くなかったと思います。話してみればいい人なのに、頭から危険と決めつけて『あいつには絶対に近づくな』って言ってましたし」
「いや、それも間違いじゃないんだよ。世の中にはいい人の振りをして近づく悪人も確かにいる。君も気を付けた方が良いよ」
俺みたいなな。
パッシブスキルである【警戒心解除】によって素早く打ち解けることができた。
俺の声には警戒心を解除し、欲情を高める効果もある。
それは言い換えれば、セックスしようって雰囲気じゃないときにも、俺を異性の対象として意識するような――いわば『気になる男』に昇格させる効果もあると言うことだ。
更に
「亮君が言うと説得力あるよねー」
「うるせ」
「あはは。お二人ってそんな感じなんですか。でもご忠告ありがとうございます。人と接触するときは気を付けるようにします」
「そうそう。油断してると食べられちゃうよ☆ 私みたいな美少女好きにねっ」
「ぁわっ、やだ、お尻触らないでよ
「あれから、体調はいいか?」
「ぁ、はい。先日は本当に助かりました」
「あ、そうだったそうだった。亮君聞いたよ。
「まあ偶然だけどな。ああいうことってわりとあるのか?」
「は、はい。昔から貧血気味で……」
「私も同じクラスだったらサポートできたんだけどね」
「い、
二人の関係性を考えるなら、やはり彼女の攻略には
二人の会話を聞きながら視線を巡らせると、
当然言わずもがな、
「ぁ……」
「やあ、初めまして。霧島亮二です」
「ぇ、……えっと……、はい、あの」
「ほら
人見知りが強い
「いいんだよ無理しなくて。俺の見た目が怖いのが悪いんだからな」
「そ、そんな事は」
「白峰さんだったね」
「ぇ、ぁ、は、はい」
俺はできるだけ視線を合わせるように腰を低くして
確か子供に話しかける時は視線を同じ位置まで下げると警戒心を解いてもらいやすいというのがあったはずだ。
学園生でも同じ事が通用するはず。
「俺は霧島亮二。霧島でも亮二でも好きな方で呼んでくれ。俺は君と仲良くしたいと思ってるけど、怖いなら無理強いはしないからね」
「ぁう……あうあう……ぇっと。白峰……
スキルがあっても
この短時間で自己紹介ができるようになった。
これはゲームでは見られなかった現象だ。
「ありがとう。俺は
「は、はい……よろしくお願いします、霧島、先輩」
「
「ひぅぅ~~、い、
「悪かったな貧乳でッ!」
「ぁうう~~」
なんて会話をしながら関係性を深めるイベントが起こった朝の出来事。
この後、更に俺にとってラッキーなチャンスが巡ってくるのだ。
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