第25話◇告白の練習にかこつけて◇



 俺は彩葉いろはに目配せをする。そうすると直ぐにそれを察したのか、おもむろに立ち上がった。


「さて、それじゃ私は夕食の買い出しに行ってくるよ。まさか冷蔵庫が空っぽだとは思わなかったからねぇ」


 若干わざとらしくもあるが、出て行く理由を述べながら立ち上がる彩葉いろは舞佳まいかが不安気な声を上げる。


「え、じゃあ舞佳まいかも一緒に」

「いいのいいの。舞佳まいかちゃんはゆっくりしてて。亮君と旧交を温めててよ」

「いいんですか?」

「気にしないで。それじゃ行ってくるね」

「ああ、頼むぞ彩葉いろは

「お任せー。舞佳まいかちゃん、頑張ってね☆」

「へ? な、何がですか?」


 意味ありげなことを言い残して彩葉いろはは去って行った。


 さて、ここからがお楽しみだ。


 既に舞佳まいかとは一度セックスを済ませている。だが本人にはその記憶はないし、あの時は主人公とエッチしたと錯覚していた。


 その記憶を蘇らせ、先ほど習得した【常識改変】を併用して舞佳まいかを堕としてしまおう。


 俺は【催淫】を強めに発動し、エロフィールドを形成する。

 すぐに舞佳まいかの頬が赤くなりモジモジし始めた。


「なあ宮坂」

「ぁ、舞佳まいかでいいですよ」

「ありがとう。じゃあ俺も亮二でいい」

「じゃあ、亮二君…年上ですし、亮二さんの方がいいですかね?」


「まあジムに通ってた頃から君付けだったし、君でいいよ。今更年上年下を気にする間柄でもないだろ?」

「あはは、そうですね。じゃあ、亮二君で」


 よーし、それじゃあまずは常識改変から……。


 と思っていたら、またぞろ頭の中でけたたましい声が鳴り響く。


『じゃんじゃじゃーん♡ ここでボーナスターイムですよーっ♪』


「ッが」

「どうしました?」

「い、いや、気にしないでくれ」


 クソッタレめ。せめてもう少し静かに宣言できんのか、このクソ妖精は。


『新しいスキル【魅惑ボイス】を進呈しまーす。名前を呼ぶだけで女の子は好き好き♡になってくれますよー』


 なるほど。パッシブスキルにも似た効果は元々あったが、それの強化版というところか。


「なあ『舞佳まいか』」

「はうっ、な、なんですか?」


 舞佳まいかの興奮が一段階上がり、喜びの感情が伝わってきた。

 なるほど、早速スキルが効果を現しているようだ。


 会話の中でできるだけ多く名前を呼んでみるか。


舞佳まいか、そんなに自信が無いなら、俺相手に告白の練習でもしてみるか?」

「こ、告白の練習ですか?」

「ああ、舞佳まいかが幼馴染みを好きだって気持ちを、言葉にするんだ。人間言葉に出すと行動出来るっていうぜ」


 知らんけど。


「そうですかね……でも、舞佳まいかなんかに好きなんて言われて、亮二君も迷惑じゃ……」

「そんなことはない。舞佳まいかは可愛いぞ。嘘でも告白してもらえたら嬉しくてテンション上がっちまうぜ」

「はうぅ……」

「それに舞佳まいかは"なんか"じゃないぞ。美少女だし、性格は良いし、一緒にいて元気になれるしな」

「ほ、本当ですか? ウザいとか思われないですかね?」

「そんなのは人同士の相性だし、相手の心次第な所もある。少なくとも、そうして相手のことを気にしている時点で舞佳まいかはちゃんとデリカシーのある人だと思うよ」


「そんな風に言って貰えるの初めてです。らっ君はいつも舞佳まいかのことからかうし、おっぱいが小さいとか体の成長が止まってるとか」

「それは、まあ、好きな人に悪戯しちゃう小学生とかと同じ心理だろうな。どうだ舞佳まいか。まずは俺で練習してみろ。幼馴染みの名前が言いにくいなら俺の名前でもいい」


「りょ、亮二君の名前で、ですか?」


「ああ。仮にでいい。みな」


 言葉のスキルは舞佳まいかの心に影響を与えた。

  

「わ、分かりました。えっと、亮二君……好き、です」

「いいぞ舞佳まいか。俺も好きだ」

「ふぇッ⁉ え、えっと」

「動揺するなって。あくまで置き換えだ。告白が成功しているイメージを強く持つための工夫だよ」


「そ、そうなんですね」

「ほら舞佳まいか、もう一回」

「は、はい……えっと、亮二君、好きです……。亮二君のこと、好きです……。大好きです。はう……なんでしょう。ドキドキしてきます」


 ここで認識改変を強化。次なる段階に移行する。


「よーし。それじゃあ幼馴染みの名前で本番いってみようか。舞佳まいかの好きな人の顔を思い浮かべて、名前を呼んで、そして想いを伝えるんだ」


「は、はい。らっ君……」

「そうだな。ちゃんとした呼び方の方が真剣味が伝わると思うぞ」


 これはあだ名よりも本名の方が認識の置き換えがしやすいからだ。

 上手く誘導して名前の認識を改変してやる。


「楽人君……舞佳まいかは、舞佳まいかは、あなたのことが、好きですッ」

「いいぞ、もっと思い切りよく、強く言葉にしてみろ」


 認識改変、発動。


楽人君ッ亮二君ッ、好きですっ。舞佳まいかは、楽人亮二君のことが、大好きですっ!」

「ああ、俺も好きだよ『舞佳まいか』」


 更に追撃。常識改変、発動。


「好きだ舞佳まいか

「ほ、本当に? 楽人亮二君、舞佳まいかのこと、本当に好きになってくれますか?」

「ああ、好きだよ『舞佳まいか』」


 スキルの重ねがけで舞佳まいかの中の認識がドンドン書き換わっていく。


 楽人への想いが俺への想いと認識が変換され、それを繰り返すことで嘘が真実に変わっていく。


 論理的な説明は難しいが、今の舞佳まいかは俺への好きと楽人への好きがごっちゃになっており、目の前の人物こそが自分の好きな人であるという認識をし始めている。


舞佳まいか、好きだ。おいで」


 俺はトドメとばかりに両手を広げ、舞佳まいかを誘う。

 すっかり好きの感情の矛先が俺に書き換わった舞佳まいかは、嬉しそうに胸の中に飛び込んできた。


舞佳まいか、お前の好きな男の名前をいってみろ」

舞佳まいかの、好きな人は……」

舞佳まいかの好きな人は……」

「……ら……、……亮二、君?」


「そうだ。お前の好きな男の名前は霧島亮二だ」

「亮二君。舞佳まいかが好きな人は、霧島亮二君……」

「どうだ舞佳まいか。恋人になった後のことも練習してみないか?」


「は、はい……練習、したいです」


 エロスキルが発動しているだけに抵抗はない。

 発情した舞佳まいかはトロンと潤んでおり、再びあのハートマークが浮かび上がってきた。



 こうなったらもうこっちのもんだ。

 まだ残っている楽人への想いを、全部俺への好きに書き換えてやろう。


◇◇◇


◇◇◇


◇◇◇


 舞佳まいかとの時間をたっぷり過ごし、完全に攻略することに成功した。

 戻ってきた彩葉いろはの作った夕食で歓迎会をやることになり、俺達は一緒に食事することになった。


舞佳まいかちゃん、ヴァージン卒業おめでとう&、これから同じ彼女としてよろしくねのかんぱーい♪」

「か、かんぱーい」


 テンションバチくそ高めの彩葉いろはの音頭でジュースの入ったコップをぶつけ合う。


 カチン、と軽い音を立て、ゴクゴクとオレンジジュースを飲み干した彩葉いろはが喜びの声を上げた。


「いやぁめでたいねぇ。晴れて亮君の彼女になれた感想は?」

「は、はい。とっても嬉しいです。舞佳まいか、これからも頑張ります♡」


 戸惑いは残っていたが、何度も精液を注ぎ込むうちに常識改変で変わった認識が彼女の深いところに定着して安定した。


 そのおかげで舞佳まいかの中で、霧島亮二の彼女は皆で仲良くするもの、という常識が根付いた。


 それから日常生活に支障が出ないように、俺が許可した人以外には口外しないようにもしてある。


 これからヒロイン達を攻略していくにあたって、2人は大いに手駒として活躍してくれるだろう。


「それじゃあ今夜は早速3Pだね♡」

「あうぅ。すみません。舞佳まいか、まだ外泊は許可されてないんです」

「そっかぁ。残念」

「まあ無理して強行しなくても、これからいつでも可愛がってやるから安心しろ。俺が呼び出したらいつでも来いよ」

「はい♡ 舞佳まいか、もっとエッチな事できるように頑張りますね!」


 こうして攻略ヒロインの一人目、宮坂舞佳まいかの攻略は完了し、俺のハーレム計画は一歩前進するのだった。


――――――――


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