第19話◇本能には逆らえない◇

「ひゃぁん♡ んぁ、ぁあ、あの」

「す、すまんっ」


 スケベ本能の悲しい習性か分からぬが、思わずもにゅもにゅと動かしてしまい、初音はつねの甘い声が肺から漏れ出る。


 意識してしまうと勃起しそうになるので手を離したかったが、本能が理性を凌駕りょうがして逆らえなくしている。


 俺の手は更にその楽園もにゅもにゅを求めて野獣の様に動いてしまい、初音はつねは抵抗できずに甘い息を漏らし続けた。


「はぁ、あひっ、んはぁあ♡」

「す、すまん桃園ももぞの。わざとではないのだ」


 一瞬が一時間にも思える数秒間、ヘブンズもにゅもにゅを堪能してしまった野獣の本能をなんとかねじ伏せ、鋼の精神で自分の手を引き剥がす。


 引き剥がす瞬間に先端の突起を探してコスコスとさすってみたが、それもわざとではない。わざとではないのだ。断じて。


「あう、あうあう」

「悪かった。今のは完全に俺が悪い」


「ひぅ、はひ……い、いえ、その……はい。不可抗力、なんですよね。大丈夫、です」

「あ、ああ。本当にすまんな。立てるか?」


「は、はい……」


 ゆっくりと立ち上がったのを見届け、俺も身を起こすが、背中にズキンと痛みが走る。


「ぁた……」

「だ、大丈夫ですか?」

「ぁあ、心配するな。少し打っただけだ」


 幸いにしてそれほど大きな怪我ではなさそうだ。


「きゅ、救急車っ、救急車を呼ばないと、あ、でも、スマホは教室でっ、ど、どうしましょう」


 珍しく大きな声で喋る初音はつねに思わず笑いが漏れてしまう。

 こんな大きな声で喋る彼女が見られるのはゲーム後半になってからだ。


「落ち着け桃園ももぞの。ここは学園の中だぞ。保健室に行くのが普通だ」

「ぁうっ、そ、そうでした」


「そうだな。できれば手を貸してくれるか」

「は、はい。ど、どうぞ」

 

 スッと差し伸べられた手を取り、負担をかけないように立ち上がる。

 

 背丈の違いがあるので見下ろす形となるが、改めてみると初音はつねは爆乳に見合うだけの高身長だ。

 俺の身長が高いので結果的に見下ろす事になる。


 確か設定資料だと身長は165センチだったはずだ。


 ちなみにバストサイズは脅威の105センチ。

 デブにならないようにダイエットに励んでいるが、何故か胸だけは果てしなく成長してしまうという悩みを抱えている。


 ゲーム終盤では更に成長して110センチを超えてしまうことを嘆くイベントがあるので、まだまだ成長中なのだ。


「えっと、肩に、掴まりますか?」

「すまんな。悪いが借りるぞ」


 正気に戻らないうちに提案を受け入れてしまい、肩に手を置いて保健室まで歩き始める。


 その後、保健の先生に見てもらって軽い打撲であると診断され、貧血で気分の悪くなった初音はつねと共にベッドで休むことになった。


 ラッキーちゃーんす☆はまだ続いている。



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