サブヒロイン 鬼沢彩葉
第7話◇サブヒロイン登場◇
「ふぅ、なんとか間に合ったな」
全ての後始末を終えて舞佳の家を後にした俺は、これからのことを考えるのと、改めて状況の整理の為に家に戻ることにした。
幸いにして俺は事実上の一人暮らしだ。
霧島亮二的にはどう思っているのか知らんが、俺としては赤の他人と共同生活をするのは緊張するから、考えようによっては丁度良い。
さて、状況を整理しようか。
俺は家路に着く途上の道を歩きながら、今日起きたことを頭の中で整理することにした。
妖精さんは相変わらず必要な事以外は喋らないので意思の疎通が叶わない。
俺がなんのためにこんな世界に生まれ代わり、何をするべきなのか、今更確かめようとは思わない。
俺はさくさくのヒロイン達を幸せにしたい。
それは俺の女になるという最高の形で実現したい。
これが俺のやりたい事、自分で定めた成すべきことだ。
そのためにもたらされたスキルを行使する。
今の俺にできることはかなり多い。
【認識改変】→相手の認識を変える
【警戒心解除】→文字通り警戒心を解きやすくする
【催淫】→エッチな気分を誘発する
【受精コントロール】→妊娠を任意にできる
【痛覚緩和】→破瓜の痛みを緩和する
【危険感知緩和】→生セックスへの危機感を緩和する
【快感増大】→与える快感を増大させる
【絶倫帝王】→何度でも射精できる
【膣内射精快感依存付与】→俺の精液の虜にする。回数を重ねると依存性は強くなる
それから舞佳の考えていることが伝わってくる能力もあったな。
あれは【以心伝心】とでも名付けようか。ついでに視覚効果の強化もあったな。
それから舞佳の中には俺が与えた快感の種子を植え付けてある。
今は主人公から与えられたものだと認識しているが、
これで徐々に楽人への気持ちが俺への記憶に切り替わっていく筈だ。
「これからが楽しみだな。ヒロイン達のあれやこれや、一体どんな顔で乱れてくれるのか」
一見すると無敵にも思えるが、弱点もある。
女の子のスキルの影響なしで認識を完全に書き換える為には、色々と細かい条件があるっぽいのだ。
短時間だったとはいえ、
まあ一気にここで説明しても意味はない。状況に応じてじっくり話していくとしよう。
憧れのヒロイン達とのあられもない時間を想像すると、いくらでも欲望がせり上がってくる。
次は誰を攻略しようか。この世界がゲームに準拠しているのだとしたら、たっぷり一年近くの時間がある。
いや待て……。ヒロインが確定ルートに入ってしまったらそれ以外のヒロインが不幸になる。
バッドエンドヒロインの退場が最初に起こるポイントは秋頃だったな。
そして霧島亮二の姿が確認できるのも同じ頃。
舞佳もまだ完全攻略した訳ではないし、そう考えると夏休み終わり頃まで、つまり5ヶ月程度しかないと考えるべきだろう。
スキルの種子がどの程度根付き、どのくらい根付かせれば完全に俺のものになるかも不明だ。
普通に恋愛するだけじゃダメだろうな。何しろハーレムやらないといけないわけで。
現代日本で普通にハーレムなんてできる筈もない。
と言うことは、ヒロイン達をどうしようもないほど俺の虜にするしかない。
経済的基盤も必要だ。俺だってデートくらいしたい。そのためには資金源が必須だろう。
バイトをする手もあるが、人数が増えれば確実に足りなくなる。
まあいい。財源についてはアテがあるし、そのうち問題解決できるタイミングがやってくるはずだ。
彼女達の好感度は日々変動している。主人公との会話やイベントでの選択肢なんかでフラグを立てていき、ゲーム後半の確定ルートに入るキャラが決定する。
完全に確定ルートに入るのはクリスマスデートに誰を誘うかで決定する。
好感度が規定より超えている状態で誘うとルートが確定し、誰も超えていなければ【例のバッドエンド】に入ってしまう。
幸いにして俺にはゲームの知識がある。
これから起こる出来事も全て把握しているし、重要なイベントも理解している。
物語のターニングポイントになるイベントに介入するか、あるいはそれ自体を潰してしまうか。
状況に応じて立ち回る必要がある……そうなると。
「手駒がいるな。サブヒロインを取り込むか……」
ゲームには攻略する四人以外にも魅力的なサブヒロインが何人も登場する。
その誰もが魅力的だし、ついでに俺のものにするのもいいかもしれない。
「さしあたって手駒として丁度良さそうなのは……」
「おーい、亮二!」
「お?」
俺が考えを巡らせていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
それは元の俺の記憶と霧島亮二の記憶の両方に存在する。
元の俺の記憶はゲーム画面の中。つまりそれは……。
「なんだ鬼沢か」
「なんだはないでしょっ!」
鬼沢
ゲーム内においてはヒロインの一人であり爆乳お姉さん、
ゲーム特有の赤い髪。少しつり上がった
制服のスカートを短く履き、つり上がる目付きは怒って更につり上がっている。
ギャルという言葉が良く似合う。ゴリゴリではないものの、良くも悪くも今風だ。
「なんか用か?」
「なんか用かじゃないよ。珍しく登校してるから声かけてあげたんじゃん」
(なるほどこの女、霧島の幼馴染みだったのか)
霧島の記憶の中で、幼い頃の彼女の姿があった。
小さい頃はよく遊び、わんぱくな彼女の後ろをついて回っていたらしい。
成長するにつれて徐々に疎遠になっていったのは、この男がグレていたからだろう。
(そうだ。彼女は
ゲーム内における彼女の立ち位置は
主人公が悩み、ウジウジして
そういえば、
それが
よーし、スキルを発動して……いや待て。
「なあ
「え……。ど、どうしたのよ急に。いつもけんもほろろなのに」
「まあ、最近色々あってよ。散らかってるから来たくないもの分かるが」
「べ、別に嫌だなんていってないじゃない……。あんたが急に言うからビックリしただけで」
「心配しなくても何もしやしねぇよ。ちょっと寂しかっただけだ……」
「え、さ、寂しいって」
「色々バカやってたらよ、急に虚しくなっちまったんだよ……そしたらふっとお前の顔を思い出して、考え事してたらお前が声をかけてくれた」
「あ、あんたそんなキャラだッけ」
「ま、嫌なら良いんだ。じゃあな」
「あ、ま、待ってよ亮二ッ! 嫌じゃないって言ってるじゃないっ」
釣れた。俺の知っている彼女の性格は、面倒見が良い【いい人ギャル】なキャラクターだ。
しかし、実はちょっとした影のある過去を持っているということが設定資料で明かされている。
好きな男の子がいた。だがそれは今は疎遠になり、彼を救えなかったことを後悔しているとあった。
だからこそ、ルートに入った
ということは……。その原因である俺が更生しようとしているこのチャンスを絶対に逃さない筈だ。
スキルを使うのはいつでもできる。ちょっと俺の実験に付き合ってもらうぜ。
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