第4話

「森村先生は今日、伶菜さんのリハビリ見学にわざわざ来るからオペ予定は入っていないはずだぞ。」


「バレたか。」


「ほら、ここ、座れ。」



ズバリ、やる気なさそう

岡崎先生は


あたし、別に指導者がイケメンじゃなくても

無事に実習が終わればそれでいいから

あたしも指導者は松浦先生がいい


でも、目の前には指導者がふたり

あたし達学生もふたり



「バイザー・・・実習指導者ですが・・・・」



岡崎先生が椅子に腰かけたと同時に松浦先生の説明が始まった。

しかも、絵里奈もあたしも気になっている用件らしい。


その証拠に絵里奈は前のめりになっていて、彼女の目の前に腰掛けている松浦先生が若干後ろ仰け反り状態になっている。



「俺、この人でいいわ。」



前のめり、後ろ仰け反りの人達とは対照的に

あたしの目の前の人は机に肘をついて頬杖をついたまま

あたしを指さして気怠そうにそう呟いた。



責任者である松浦先生からの指名分担があるかと思っていたのに

まさかの逆指名


同じことを思っていたらしい松浦先生も驚いた顔で

そして、自分は希望していた松浦先生が担当になることを確信したらしい絵里奈は嬉しそうな顔でふたりともあたしの顔を凝視してきた。


対照的に目の前の岡崎先生は頬杖ついたままの変化なし。

異論を言うもんなら、何を言い出すかわからない空気まで醸し出している。



「そ、そうか。わかった。じゃあ、伊織・・・あっ、神林さんは岡崎先生にお願いして、僕は戸塚さんの担当で指導を実施していきますので宜しくお願いします。」



その空気をすぐさま読んだらしい松浦先生は、岡崎先生に逃げられたくなかったのか、異論を唱えることなく、そう言い、絵里奈を隣の机に呼び寄せた。


絵里奈は、はい~!!!!と明らかに声にまで嬉しさがダダ漏れ。


隣にいたあたしは返事すらできない。

ここまで来たらどうやら拒否権はないらしい。

ドラフト会議なら拒否もできるらしいのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る