第18話

医師になってからもう何年経つのだろう?


緊急時にこんなにも揺れる自分がいるのなんて初めてだ




同乗した救急車の中で、乗せられた担架に横たわる彼女を見つめる




涙の粒が睫にひっかかったままぎゅっと閉じられた目


濡れた頬は赤味なんか一切なくて

救急車内の車内灯で見ても、顔色の悪さは明らか


お腹を擦る右手はまるで腫れ物を触るような手つきで






『今から僕が勤務している病院へ向かうから、、、今から聞く事に答えてくれるか?』





そうであって欲しくはないけれど、

確認せずにはいられなかった



ぎゅっと閉じたままだった目をおそるおそる開いて

俺のほうを見つけた彼女に




『伶・・・いや、君は・・・お腹に子供いないか?』




もしかして

妊娠しているかもしれないという事実を・・・・

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