第16話
「危ないですよ!!!!下がって下さい!!!」
慌てた様子を隠そうとしていない駅員の怒鳴り声に思わず辺りを見回す。
駅員の姿を見つけることができないうちに、後ろからどんどん近付いて来る電車の駆動音。
それに引き寄せられるように、ホームの白線の外側へ進もうとする1人の女性の姿。
”列車への飛び込み自殺”
その言葉が俺の頭を過ぎった瞬間。
『・・・・お前、、、、、何、やってるんだ!!!!!!』
怒りがぐっとこみ上げた。
電車の乗員、乗客が危険に晒されるかもしれないその無責任な行動に
そして何よりも
自らの命を粗末にしようとしているその行動に
怒りを堪えることなんてできなかった。
そんな感情が俺の中で湧き上がりながらも、自分の体は前に飛び出していて
気がつけば俺は
この手で彼女の手を強く引き
そして、
この腕で彼女を抱きかかえていた。
腕の中で震える彼女。
汚れた彼女の口元をハンカチで拭いながら
その表情に目をやった俺は思わず息を呑んだ。
そして自分の覚醒状態を疑う。
・・・・・これは夢なのか?
それとも
・・・・・現実なのか?
今、自分の腕の中にいるのが
ずっと捜し求めていた彼女だったから。
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