「合体しちゃうの」 第2話
次なるターゲットは、天津飯と焼飯の“合体版”と言われる「天津焼飯」。健一はこの料理を出すと噂の「龍華苑」へと足を運んだ。この店は、天津飯と焼飯をどちらも極めたシェフが、特別に考案したという天津焼飯を提供している。
注文を終え、出てきた天津焼飯に、健一はしばし見とれる。こんもりと盛り上がった焼飯の上に、ふわふわの卵が豪快に乗せられ、さらに甘酸っぱいあんが全体にかかっている。まさに天津飯と焼飯の“合体”だ。健一は目を輝かせながら、そっとスプーンを入れる。
一口目を口に運ぶと、香ばしい焼飯の風味と卵の柔らかさが絶妙に絡み合い、あんの甘酸っぱさが全体を引き締めてくれる。これぞ、天津飯と焼飯の良いところを全部詰め込んだ味わいだと感動した健一だったが、二口、三口と食べ進めるうちに、ある疑問が湧いてきた。
「これは美味しい…でも、何か物足りない気がする?」
そう、天津焼飯は確かに天津飯と焼飯の両方の魅力を兼ね備えている。しかし、天津飯のふんわりとした卵とあんの一体感、そして焼飯の独立した香ばしさが混ざりすぎてしまい、それぞれの個性が少しぼやけているようにも感じられたのだ。
「やっぱり、天津飯は天津飯として、焼飯は焼飯として味わう方がいいのか…?」と、健一は考え込みながら、箸を止めた。しかし同時に、新たな好奇心も生まれていた。「それとも、この天津焼飯にもう一工夫加えれば、本当に究極の料理になるのかもしれない?」
悩む健一は、店のシェフに声をかけ、天津焼飯のアイデアについて話を聞いてみることにした。シェフは笑いながら「実は、天津飯も焼飯も、それぞれ違った歴史とこだわりがあるんですよ。だから、どちらかに偏らないようにと工夫したんですが、満足していただけないなら、まだ改良の余地があるのかもしれませんね」と語った。
この話を聞いた健一の中で、何かが芽生え始めた。天津飯と焼飯、そして天津焼飯。それぞれの良さを最大限に引き出す“究極の合体料理”の可能性に思いを馳せ、次なる試みを決意するのだった。
次回、「合体しちゃうの」第3話で、健一はついに自ら究極の天津焼飯を作り出す挑戦に乗り出す!果たして、どんな結末が待っているのか?
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