第5話:だって偽物の涼介でしょ?。
「あなた、なに涼介になってるの?・・・どう言うつもり?」
「そう言うつもり・・・」
「向日葵ちゃんに喜んでもらうにはこれしかないと思って・・・」
一瞬、涼介が蘇ったのかと思った向日葵、それがどうやら死神のアルだと
知って一気にやる気が失せた。
「今日から僕は涼介として向日葵ちゃんと一緒に過ごすから、しばらくの
間だけどね・・・」
「向日葵ちゃんの心の中から悲しみが消えるまで・・・」
「なんでですか?・・・これってぬか喜びじゃないですか?」
「だって偽物の涼介でしょ?」
「偽物って言うな・・・あのねモノは考えよう・・・姿形は
「全然、違うと思いますけど、涼介はもっと品がいいです」
「あそ、なら聞くけど向日葵ちゃん、どれだけ涼介君のこと知ってるの?」
「一緒に暮らしてた訳じゃないだろ?・・・ただ遠くからいちファンとして
彼を見てただけだろ?・・・いったい涼介君のなにを知ってんの?」
「そう言われちゃうと・・・返す言葉ないけど・・・それにしたって」
「向日葵ちゃんは最初に涼介を見た時、彼のビジュアルに惹かれたんだろ?」
「だったら内面なんて求めなくていいじゃん」
「君の誕生日に君の涼介が現れた、そのことをなにも考えず素直に受け止めれば
いいんだよ」
「そうだけど・・・まあ涼介に会わせてくれたことは感謝するけど・・・」
「分かった・・・嫌ならやめる・・・よかれと思ってしたことなのに迷惑だって
思われてここにいたくないからね・・・アホらしい」
「出てくよ・・・ごめんね余計なことして・・・」
「あ、行かないで・・・ごめん・・・お願いここにいて」
「所詮、僕は君が思う涼介にはなれないんだよな?」
「分かったから・・・偽物でもいい、涼介もどきでもいいから、ここにいてお願い」
「いいのか?本当に?」
「うん・・・ごめん・・・せっかくのサプライズに文句つけちゃって」
「じゃ〜このままここに居ていいんだな?」
「居ていいよ・・・本当はね、誰かそばにしてほしいの」
「もうひとりぼっちは嫌・・・ひとりは寂しすぎるよ」
「分かった・・・ここにいるよ」
「あの・・・抱きしめてもいい、セックスさせろって言わないから」
向日葵はクスって笑った、そして拒否はしなかった。
アルは優しく労わるように向日葵を抱きしめた。
「あのさ・・・僕お腹が空いちゃったんだけど、よかったら向日葵ちゃんの
生パンツ見せてくれない?」
「は?・・・なに言ってるのよ」
「言ったよね、ご飯食べない代わりにパンツを見たらパワーが
「たぶん、パンツ見ないと僕フェードアウトしちゃうかも・・・」
「なに言ってるのアル?・・・涼介?・・・どっち?」
「やっぱり生前涼介とは違うわね・・。雰囲気も仕草も違う」
「いくら顔が涼介でもあなたは死神のアルね」
「まあ、そう思うならそれでいいよ・・・別に僕はどっちでもいいから」
つづく。
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