第2話:アルフレッド・フォン三世。

「死神って言い方は好きじゃないな・・・グリム・リーパーって呼んで、

向日葵ちゃん・・・そのほうがカッコイイでしょ?」

「それにこの格好、見せかけだけだから・・・」


「グリム・リーパーですか?」


「あ、僕「アルフレッド・フォン三世」って言います」


そう言ってドクロマスクの死神は笑った。


「言っとくけど・・・ドクロのマスク被ってるだけでこれが僕の会じゃないからね」


「え?・・・そうなんですか?」

「死神のイメージってこれだから、いかたなくね」


「顔、見せてくれないんですか?・・・「


「それはこれからのお楽しみ」


「勿体振るタイプなんですね、死神さん」


「タイム・リーパーね」


「まあ、いいです死神の顔なんて見たってしょうがないですもん」

「ひどいね、向日葵ちゃん」

「じゃ〜ひとつだけ教えてあげるよ・・・僕って日本人顏だから」


「日本人顏なのにアルフレッドって変じゃないですか?」


「そんな些細なことはどうだっていいの」

「あのさ、向日葵ちゃん・・・君、死ぬのまだ早いよ、寿命来てないもん」

「まあ、死ぬのは本人の自由だから止めてあげないほうがいいのかも

だけど・・・でも向日葵ちゃんこのまま死なせちゃもったいないと思って」


「それで私を止めたんですか?」


「それもあるけど、君を助けてセックスしたいなって思ったし・・・」


「なんですか・・・セックスって?」


「あのさ僕ね、たまたま近所を通りかかっただけなんだけど、実はこの先の

横山さんちのおじいちゃん、もう寿命でね・・・だから魂もらいに来たんだけど、

でこの跨線橋こせんきょう見たらヤバそうな女の子がいるな〜って思って」

「俺さ、死にそうな人見たら分かんのよ」


「せっかく親からもらった命でしょ、粗末にしちゃいけないよ向日葵ちゃん」

「死のうってんだから訳ありだろ?・・・よかったらその訳、僕に話してみない?」


そこで向日葵は本物の涼介に起こった事故のことを死神に話した。


「なるほどね・・・あのさ、僕がここからいなくなったら向日葵ちゃんまた

ダイブするつもり?」


「状況は変わんないです・・・生きてたって意味ないですから」

「涼介のいない世界なんて生きていたってしょうがないです」


「向日葵ちゃん・・・そんなに可愛いのにさ、死んじゃったらもったいないじゃん」

「セックスも経験してないんだよね、経験しないまま死んじゃうなんて女として

人生の損失だよ」

「君の人生はこれからなんだから?・・・死ぬ前にセックスしとかなきゃ」

「男なんて吐いて捨てるほどいるんだから、死んじゃったらあの世に言って

絶対後悔するよ・・・だからねセックス・・・」


「セックス、セックスって・・・もう恥ずかしいでしょ?」


「いいじゃん別に、世界中に浸透してる言葉だよセックスって」

「市民権得てるからね、それに他に表現しようがないし・・・僕さエッチって

軽々しい言葉嫌いなんだ」


「エッチってヘンタイの頭文字だから、あなたにぴったりじゃないですか

・・・変態死神」


「ひどいな〜動物以外のこの世の生き物は向日葵ちゃんも含めてみんな変態なの」

「子孫を残すためだけにセックスをしないのは人間だけだからね、その時点で

人間はみんな変態なんだよ」


「え〜・・・屁理屈です」


「屁は理屈なんかこねないの」

「それよりどうしたら向日葵ちゃんが死のうなんて思わないようになるかそっちの

ほうが大事ななんだから?」


「そりゃ涼介が生き返ってくれたら?死ぬのやめます」


「あ〜まだ言うんだね」

「それは無理だよ、世界中探したって死んだものを生き返らせるやつなんて

いないよ・・・たとえ安倍晴明でもお釈迦様でも神様でも悪魔でも無理だね」


つづく。


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