スケベでめっちゃど変態な死神。

猫野 尻尾

第1話:予期せぬ出来事。

この物語の主人公・・・「夏川 向日葵(なつかわ ひまわり)」16歳。

女子高一年生。


向日葵には思いを寄せる男性アイドルがいた。

そのアイドルの名前は「小鳥遊 涼介(たかなし りょうすけ)」

7人組のアイドルグループ「ノーブル・ナイト」のメインボーカル。


向日葵が涼介をはじめて見たのはノーブル・ナイトがデビューして間なしのこと。

商店街でデビューイベントを開催していたノーブル・ナイトのライブに遭遇した

時からはじまった。

たまたま買い物に街に来ていた向日葵は、そこでノーブル・ナイトのメイン

ボーカルの涼介が歌っている姿を見た。


初々しく華やかに歌う彼は輝いて見えた。

たちまち向日葵は涼介にハマった・・・そして今日までずっと応援して追い

かけてきた。


向日葵の全ては涼介だった。

きつい仕事でも涼介のことを思うと頑張れた。


ところがある日のこと・・・予期せぬ出来事が起こった。


涼介が不慮の事故で亡くなったのだ。

ノーブル・ナイトが商店街でのイベントを開催している最中だった。

ステージにいきなり車が突っ込んで来て逃げ遅れた涼介だけが犠牲に

なった。


その模様をニュースで知った向日葵は自分の目と耳を疑った。

どの放送局も涼介が事故に見舞われたニュースを報道していた。

だけど、テレビからはキャスターの声だけが聞こえて溢れ出す涙で画面が

なにも見えなかった。


車を運転していたのは80歳の老人だったらしい・・・。

よくあるアクセルとブレーキを踏み間違えてステージに突っ込んだ。

ただテレビからのアナウンアサーの声だけが虚しく耳に届いていた。


向日葵はショックで次の日会社を休んだ。

しばらくは何もする気も起きず・・・ご飯も喉を通らない。

一日中うずくまったまま・・・電気もつけずただ呆然自失で過ごした。

ふと見たアパートの窓から沈む夕日をただ眺めては悲しみに溢れる涙が

止まらなかった。


帰って来てよ、涼介。

涼介がいなくなったら、もう私には何も残らないよ。


世をはかなんだ向日葵は涼介を追って死のうと思って、夜中にまるで

夢遊病者のように街を徘徊した。

そして最寄りの駅の跨線橋こせんきょうまで来た時、ふと魔が差して

通過する電車に飛び込もうと橋から身を乗り出そうとした。


そしたら向日葵のスカート引っ張る誰かがいた。

私を引っ張るのは誰?と思って振り向くと、黒いフードを被ったドクロの

マスクを被った不気味な人が立っていた。


向日葵はその人を見て、その不気味さに後ろに引いた。


「夏川 向日葵(なつかわ ひまわり)?」


「そ、そうですけど・・・あなた誰?・・・不気味〜」


「ごめん、スカート引っ張った時パンツ見ちゃった」

「可愛くてエッチだよね、美味しいよね」


「なに言ってるんですか、あなた痴漢?」


「な、訳ないでしょ?・・・このいでたち見て分かんない?」


「なにかのコスプレですか?」


「あのさ、こう言うキャラ、タロットカードとかで一度くらい見たこと

ない?」


「え?・・・もしかしてしにがみ?・・・死神さん?・・・まさかの?」

「うそでしょ?・・・そんなのいるの?」


「死神って言い方は好きじゃないな・・・グリム・リーパーって呼んで、

向日葵ちゃん・・・そのほうがカッコイイでしょ?」

「それにこの格好、見せかけだけだから・・・」


つづく。

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