第21話 調査隊長

「嘘をつくなら、この人が喋らせてくれますよ〜?」

ラシャが後ろに控えるユリアに言う

「あなたは誰?」

ユリアが聞く

「俺は..... 俺はキニオス。エルデール・ザイレム様の私設兵団の部隊長だ。」

「キニオスさん?」

ユリアは続ける

「あなたは今、何をしに来たの?巨獣の調査?」

キニオスは何も答えない

「それとも、ミドスヘ侵攻するための調査?」

ラシャが続けて質問をする

「ぐっ....」

キニオスは苦しそうにしていて何も話さない。

「これは同じくダメそうね」

ユリアが言う。

「一度、連れだそう。別場所で聞いた方がいい」

カリサが提案する。

目、耳、口を塞ぎ、そのままカリサがヒョロリと彼を担ぐ。

そのまま音を立てずに調査隊のテントを離れた。

叫んでも声が届かないだろうとこまでやってくる。

「さて、ここから先は私の出番だな。痛い目に合わせるからお前たちは見ない方がいい」

カリサがユリアとラシャに言う。

「では、私は見張りですね〜」

ラシャが言う。

「私は、....付き合うわ」

ユリアとオリスが見守る中、カリサは恐怖の表情のキニオスに近づいて行く

そして、いきなり短剣で彼の右目を刺し貫いた.....

「ひぃ!」

キニオスが激痛に苦しみだす

「ぐあぁぁあ!!!」

「さて、質問の時間だ。なぜ、この森へ来た?」

「い..... 痛いぃ....。 俺は..... 命令に従っただけだ.....」

「誰が何をさせた?」

「し... 知らねえ!! 俺は何も知らねえよ!」

カリサはさらに短剣を手に握る

「次は左目だ。」

そう言うと短剣を振り上げた

キニオスが必死に懇願する

「待ってくれ! お願いだ! 」

カリサは手を止めると短剣を下げる

「..... 巨獣か?」

カリサが聞くとキニオスが頷いた

「どうして巨人獣のことを?」

「知らねえ!」

「そうか.... なら、仕方ないな。」

カリサが短剣を握りしめ

「嫌だぁぁぁぁ!」

キニオスは叫ぶ

カリサはさらに短剣で今度は左目を突き刺した

「ぎあぁぁぁあ!!」

キニオスは痛みに苦しむ

「さぁ、もう1度だけ聞くぞ。どうして巨獣のことを?」

カリサが再び質問をする。

「.........。」

キニオスは無言だった

「なぜだ?なぜ巨獣のことを知ってた? 」

カリサが怒号を上げる

キニオスが沈黙を続けた

「ちっ! もういいか!」

カリサは短剣を握りしめて立ち上がる

その時.....

「待ってくれ.....」

キニオスが突然口を開いた

「本当に知らないのか?」

カリサは聞く

「本当だ..... ただ、俺は巨獣の話が噂で聞いただけだったんだ....」

キニオスが静かに話す

「どういうことか説明してくれ」

「俺は本当に何も知らなかった。 ザイレム様から巨獣がいるから、ミドスを制圧しろと命じられたんだ...」

「なぜ巨獣の話が出ていた?」

「俺が知るわけがねぇだろ!」

「どういうことだ? なぜ、お前は巨獣の話を聞いて行動したんだ?」

カリサはキニオスに問う

「俺には分かるわけがねえ..... しかし.....」

「しかし?何なんだ?」

「もしかしたら...」

キニオスは何かを思い付いたようだった

「もしかしたら何だ?早く言え!」

カリサが怒鳴った

「エルデール様なら... あるいは.....」

キニオスが呟く

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