第15話 軍隊の目的

「ははは。ラシャは見かけによらず、凄いだろう?」

2人がテントの中に向かっていくと、近くにいた屈強な戦士がオリスに話しかけてきた。

「やぁ。俺がわかるかな?」

「昨日の....」

昨日、盗賊団から助けてくれた戦士の1人だ。

「そう。俺はグリヴァン。冒険者だ、よろしくな!」

「オリスです」

オリスがそう言うとグリヴァンはうなづき、少し離れたところにいる軽装の戦士を呼んだ。

「おーい!カリサ!こっち来いよ!」

カリサと呼ばされた戦士がやってくる。彼女の長く流れる赤銅色の髪は、日光を受けて燃え盛る炎のように輝き、彼女の歩くたびに柔らかに揺れる。甲冑の隙間から見えるその腕や手はしなやかでありながら、確固たる力が込められており、剣を握る指先には戦いによるわずかな痕が残っていた。

彼女はオリスの顔を見ると声をかけてくる。

「やぁ、昨日の.....」

彼女もオリスを助けるために戦った戦士だった。

オリスは、2人にお礼を言うとカリサは応えた。

「いや、ギルドからの依頼だ。私たちは冒険者だからな。」

そう言いながら彼女は優しく微笑んだ。

「しかし、巨獣に殺されなかった強者が盗賊に捕まってしまうとはな。」

「巨獣にも殺されかけました。死ななかったのは運が良かっただけです。」

「そうだな。」

彼女はオリスを慰めるようにそう言った。


その後2人と別れ、オリスはテントの中へ入っていった.....

「それではユリアさん、お願いします。」

ラシャとユリアは兵士の前で向き合う。

兵士が何か言っているが、ユリアの前で突然口をつぐむ。

ユリアが兵士の頭に手を当てると兵士は眠ってしまった。

しばらくすると兵士が目を覚ます。

「私はザイレムの屋敷にいた...

私は.....

私はザイレムの屋敷で仕事をしていた.....

私は....」

兵士がぶつぶつと何か言っていた.....。

兵士の目が虚ろになっていく.....。

「なぜ、この森に来た?オーティリア公国への侵攻か?」

ユリアが尋ねる。

「それは...」

兵士が知っていたことをまとめると次のようなことだった。


ザイレム家の現当主は野心的な人物で、近年は領土の拡大と資源確保を目的に軍備を拡張していたようだ。また帝国の中央で権力争いが激化しているようで、ザイレムのような辺境の貴族が多少、隣国に手を出しても中央はそれどころではないようだ。ミドス規模の街にに侵攻すれば国家間の争いになるが、その周辺の小さな村をいくつか占領し実効支配してもアルカン中央は動かない。またオーティリア公国側も大帝国と言われるアルカンと表立ってことを構えたくはない。そのような両国の思惑の隙間で、自領を少しづつ拡大し、アルカン中央でも権力を強めていく目的だったようだ。

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