第14話 軍の正体

「これはすごいですね〜。この辺の地形が変わっています〜」

翌日、ラシャとギルドの調査隊と一緒に巨獣とそして軍隊に遭遇した地点まで来ていた。

「あの怪獣.... どこへ消えたんでしょうね〜」

オリスはその巨獣の消えた方向を見ていた。

「あの後、消えた方面の街のギルドと連絡を取り合いましたが、そちらでは見かけていないようです〜。なんと、途中で本当に消えちゃったんですね〜」

「.....そうか...」

オリスは巨獣の消えた方向を見ながら言った。

「あれは一体何なんだ? あんな化け物がなぜ突然現れた?」

「分かりません〜。ですが、これだけは言えますね〜。この世界はきっと変わります〜。世界は確実に変化していきます〜」

ラシャも遠くを見ながら言った

「でも大丈夫ですよ〜。オリスさんなら大丈夫ですよ〜」

ラシャはオリスを慰めるかのように言う。

「ありがとう....。」

オリスは礼を言うとラシャの方を見る。

ラシャは照れたように少し顔を赤らめて俯いた。

何かが気になったように、ユリアが割って入ってくる。

「ところで...軍隊の方はどうするの?」

「はい、それなんですが〜」

ラシャは懐から紋章を取り出した。

「これが 、その軍隊が所属する家のようです。森の中から見つかりました〜」

「これはどこの紋章なんだ?」

オリスが紋章を指さしてラシャに聞く。

「これはですね〜、隣国アルカンの貴族ザイレム家ですね。ミデスの近くに領地があります〜」

アルカンは大帝国と言われる大国で、この大陸では多くの領土を持っている。

そしてザイレム家とは、かつてユリアが愛した男を彼女の村に刺客として送り込んだ貴族だ。

オリスとユリアは顔を見合わせる。

「おやおや、何か訳ありのようですね〜」

ラシャが2人の様子を見ながら言う。

2人は黙ったままだった。

「まあ〜いいです〜。私はここでまだ調査を続けますよ〜。そこでユリアさん、少しお手伝いいただけないでしょうか?」

「なんで私が?何を手伝うの?」

「実はですね〜、ザイレム家の兵士の生き残りが見つかっています〜。しかし、頑なに口を閉ざして何も話してくれません。そこで、ユリアさんの不思議な力をお借りしたのです〜」

「私の力?」

「そうです〜。私にあの時のことを忘れるようにしたように〜。あの力を使えば、口を割らせることもできるでしょう〜?」

「っ!気づいていたの?」

ラシャは得意げな顔をする。

「もちろんです!これでもこの国有数のうつ世読みですよ〜」

「うつ世読みなら、化け物や軍隊のことは分からなかったの?」

「ザイレム領に不穏な動きがあることは分かっていました。なんとなくこの森で何かが起きることも。でも怪獣は無理でした〜」

「あなた、もしかしてそれを見越して、討伐クエストで私たちをここに向かわせたの?」

「はい〜。ごめんなさい〜。だって催眠術かけてくる不思議な運命の二人組ですよ。私のなんとなくでギルドマスターは動かないですから。そんな時に、ちょうど良いタイミングでしょう〜」

2人は驚き、ラシャを見る。

「あなた一体何者なの?」

ラシャは2人を安心させるように答える。

「私ですか〜?私はただのうつ世読みですよ〜」

「いいわ... 協力する.....。催眠術かけちゃったのは本当だしね」

「ありがとうございます〜 それでは行きましょう〜」

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