第12話 追跡者

2人が宿屋に戻ると、宿の周りには大勢の人々が群がっていた。

「何かあったのかしら?」

ユリアが首をかしげる

「さあ……でも……あの人たちに見覚えがあるような……」

2人は宿屋の中へと入り、中を見て驚いた。

宿屋のロビーはたくさんの人が集まっており、その中にオリスは見知った顔を見つけたのだ。

それは盗賊団の仲間であった……。

「みんな!?なんでここに!?」

「....お前!?」

オリスの声に気付いた盗賊団は駆け寄ってくる。

「なぜここにいる!?」

オリスに近づいてきたのは、かつての副長のドルトだ。

「抜け出したやつをやっと探しだしんだよ!ユリアを連れて逃げやがって」

ドルトはそう叫び、オリスの胸ぐらを掴む。

「やめて!」

ユリアが止めようとするが、ドルトは聞く耳を持たない。

「うるせえ! おい! さっさとこいつを拘束しろ!」

ドルトが指示を出すと、残りの盗賊団がユリアを取り押さえにかかった。

「離せ!」

ユリアが抵抗するが、体格のいい盗賊たちには敵わない。

「てめえ! 覚悟しろ!」

ドルトがそう叫ぶと、オリスは殴られた……。

「オリス!?」

ドルトがオリスを殴り、ユリアも盗賊たちの手によって拘束された。

ドルトはさらにオリスを蹴り続けた……。

2人は盗賊団に連れ去られ、どこかに連れて行かれる……。

2人が連れて行かれたのは、街の裏通りの一角だった……。縄で縛られ、馬車に乗せられ運ばれた。

「くそ! 離せよ!」

オリスが暴れると、ドルトはオリスに蹴りを入れた。

2人はしばらく馬車に揺られ、ある部屋に連れていかれた……。

部屋の中を見ると、そこは拷問室だった。

「おい! ここは何なんだ!」

オリスはドルトに尋ねた。

「俺たちの新しいアジトだ」

オリスを殴りつけて、ドルトは言った。

「ここは街の地下にある牢獄だ。ここをアジトにしてこの街を乗っ取るのさ」

オリスはドルトの答えに驚いていた。

「どうしてこんな事を?」

ユリアがドルトに聞いた。

「簡単な話だ。この街にはたくさんの金持ちがいるだろ?そいつらの金を奪えばいいのさ。」

「だから、お前たちはこの街に攻めてきたのか。」

しかし、この規模の街には当然、警察や守備兵がいる。数十人規模の盗賊団が襲ってどうにかなるわけがない。リーダーがいなくなって抑えが効かなくなっているのか。

「お前らには、あのときの事を償ってもらうからな!」

ドルトはそう言うと、オリスに暴行を加え続けた……。

オリスを殴って満足したのか、ドルトは部屋を後にした……。

「.....大丈夫か?」

ユリアも暴行を受けていたのか、顔が腫れていた……。

2人はしばらく無言だった……。

「.....ねえ...」

しばらくして、ユリアが口を開いた

「.....何だよ....」

オリスも返事を返す

「私ね.....昔に誰かを愛したことがあるの.....」

「.....そうだったな....」

「それがね.....その人ね.....私のことを裏切っちゃったのよ....」

ユリアは悲しそうな口調で話した。オリスはじっとユリアを見る。

「僕は裏切らないさ」

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