第6話 うつ世読みラシャ
「次の方ー」
受付の女性職員に声をかけられたので私たちはカウンターに向かった……。
「どういったご用件でしょうか……?」
「登録をお願いしたいんです。」
「はい……かしこまりました。……それではこちらにご記入をお願いします。ただし、犯罪者や反社会的勢力、または危険思想の方はご登録いただけません。それを判別するためにご協力いただけますか?」
ギルドの規約と依頼内容を見ていたオリスは、ギクリとして職員を見て、ユリアに視線を移す。
「分かりました。何をすれば良いでしょうか?」
彼女は物おじぜずに答えている。
「ありがとうございます。それでは、奥の部屋にどうぞ。中に"うつ世読み(うつよよみ)"がおりますので、彼女の指示に従ってください。」
"うつ世読み"とはいわゆる魔術師だが、戦闘向きの能力ではなく予言や千里眼によって未来や過去を読み解く能力を持つような人を言う。つまりうつ世読みの力で問題のある人物かどうかを判断するのだろう。
オリスは、全く意に介さないユリアに手を引かれ、その部屋の中へと進んでいく。
部屋の真ん中には水晶玉のようなものが置いてある机があり、その上には少女が座っていた。
「はじめまして。"うつ世読み"のラシャと申します。」
少女は14~5才くらいだろうか。金髪碧眼の少女だった。
「ではまずあなたからお願いします。」
ラシャがそういうとユリアは椅子に座った。
「では、目を閉じていただいて……ゆっくり息を吸いましょう……」
ユリアは言われた通り目を閉じて、静かに深呼吸した。
「はい。ではゆっくりと目を開いていってください。」
ゆっくりと目を開けると、目の前にいたラシャがにっこりと笑って立っていた……。
「大丈夫です。あなたは大丈夫ですから……。何も心配いりませんよ……」
「はい……。」
「では次は、こちらの水晶に手をかざしてください。」
「はい……」
ユリアはラシャに促され、水晶に手をかざした……。
「あら? あなたは不思議な力を持っているようね。これはめずらしい。
ちょっと詳しくお話を伺いたいけど、まぁ、冒険者登録には問題ないわ」
「ありがとう」
「では、今度はそちらのあなた、お座りください」
ユリアに代わり、今度はオリスが椅子に座る。
オリスはユリアの顔を見る。彼女はうなづいて見せた。
先ほど同じようにするが水晶に手をかざすと水晶の真ん中に青い光が出てきた……。
ラシャは不思議そうにその光を見つめている。
「うっ、うそでしょ!これって......そんなあなたが.....、まさか!」
ラシャは何かに驚いたように叫び、取り乱し始めた。
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