第24話 私の❤︎を見ていいよ
(隼人くんが望むなら……見ていいよ)
(念願の望みが叶いましたぁぁぁ)
玲奈は右脚を俺の方へと伸ばしつつ、左脚を曲げて椅子の上に置いていた……要するに、スカートが自動的に上へと捲られて、もう中身が公開されちゃっているのだ。
ラッキースケベとかいう次元を遥かに凌駕している、まさに楽園に広がる花園、俺の体内時計は完全に狂って時間が制止している状態にある。
ただでさえ人の気配がない空間で、俺だけに見られているという幸福を感じている玲奈……もう我慢の限界みたいだ。
(おっぱい見られるより、もっともっと……感じちゃってる……)
(俺もビンビンに感じてます!)
包み隠さずに言うならば————。
おっぱいとは格も違うし次元が違いすぎる!
女子の秘部を見る、それ即ち、普通に接しているだけでは決して到達することのできない境地、増してや学年トップクラスの美少女の秘部ともなれば、特別な聖人にしか成し得ることができないのだ!
(靴下よりも……やっぱり
(うんうんうん! そ、そ、
靴下に添えられた手は微動だにせず止まってしまいフリーズしているが、もはや靴下なんてどうでもいい、記憶の彼方に消し飛ばした!
(女の子の……見たの……初めて?)
(生で見たのは初めてです!!!)
(私も見せたのは……隼人くんが最初だよ)
(( 処女……地味に嬉しい! ))
そして俺は、ただひたすらに視覚という五感の一つを利用して、至福のひとときを噛み締めていた。
目に映る全てが初体験、モザイクなど一切無しの究極の無修正を体感している!
(隼人くん……そんなにマジマジと見られると……恥ずかしいよぉ……)
(( 玲奈が本気で恥じらったぁぁぁ…… ))
恥ずかしいと言いながらも体を小刻みに震わせながら感じているのだから、欲求不満……いや、見て欲しくて仕方ないのだ。
(恥ずかしいから……あとちょっとだけね……)
(ちょ、ちょっとだけぇぇぇ、分かったぁぁ)
玲奈が髪の毛を後ろにかき分けつつ、異界の門を見せながら言葉による口撃をしかけてくるから、既に俺の頭は混乱しておかしくなっている!
(あぁァ……気持ちぃょ……見られてるって感じしてヤバぃ……もうダメっ……)
(( エッチすぎて可愛すぎて溶けそう ))
喘ぎ声っぽいボイスを小声で囁きながら、最後にはっきりと言葉にした————。
「————逝っちゃった……❤︎」
ウットリ顔を浮かべて幸せそうに見せびらかす女子高生、霧島玲奈がそこにはいた。
永遠にも感じる二十秒間が幕を閉じる。
(神様ありがとうこざいます。僕、神谷隼人は、また一歩大人の階段を登りました)
玲奈も逝ったが、俺も天国に逝った。
◆◇◆
まあそんなことで死ぬわけがないので、普通に一人で帰宅している。
玲奈はというと、『隼人くんがどうしてもって顔してたから、特別大サービスしてあげたんだからね!』とか言って、自分で新しい靴下を履いてさっさと帰っちゃったよ。
俺にとってはとてつもなく長い時間だったけど、実際には大して時間が経っていなかったので誰にも発見されずに済んだ。
しかしまあ、エロ本とか捨ててもいいレベル、さっきの記憶を回想するだけで今晩のおかずにできそう……あの可愛らしい割れ目を思い出して昇天しそうだ。
(また見せてくれないかなぁ)
そんなゲスいことを考えながら雨の降り頻る帰り道を歩いていると、目の前に見覚えのある女子生徒が佇んでいた。
物憂げな表情を浮かべ、駄菓子屋の屋根の下で雨宿りをしているようだ。
制服が雨に濡れてしまって少し寒そうにしているので、ここで無視するのは良心が痛む、そう思って声をかけてあげた。
「寧々ちゃん、こんな所で傘も持たずにどうした?」
「あっ、神谷君……ですよね」
「そうそう。昼休みに話した奴だよ」
「うん。この店でお菓子を買って帰ろうと思ったんだけど、傘盗まれちゃいました」
玲奈を見た後にこの子を見ると、純真すぎて心苦しくなってくるんだ。
だからこそ全くもって許し難い、お菓子を買いに来た幼い子供みたいな女子の傘を奪って逃走するとは。
「マジで災難だよなほんと。この雨の中帰ったら風邪引きそうだし」
「少しでも止んでくれればいいのですが……」
霞田姉妹は電車で通学しているはずなので、ずぶ濡れになって駅に行ったら何事かと思われるだろう。
姉の奈々は部活に所属しているため頼りにすることは出来ず、他に頼れる人もいないみたいだ。
この状況で置き去りにして見捨てるのはどうかと思うし、途中まで傘に入れて連れてった方が無難だな。
「天気予報だとしばらく雨やまないみたいだし、一緒に入ってくか?」
「神谷君の迷惑になっちゃうんじゃ……」
「問題ないよ。予定もないし駅まで送るよ」
「うん。ありがとです」
俺は持っていた傘の中に寧々を入れてあげて、駅方面へと向かっていく。
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