第4話 再会
私はその日、健康診断の残りの項目を消化するため、先週タクシーが突っ込んだ病院に朝早くから行った。
病院の玄関はポールが曲がっていて、入り口はまだ応急処理のべニア板が張られている状態だった。
私が受付を済ませてふと見ると、受付を待つ席にあの彼女がいた。
前髪を額から左右の耳の前にたらした可愛い子が・・・
私は写真付きの社員証を彼女に見せて、
「先週はこの病院にタクシーが突っ込んだけど、お怪我はありませんでしたか?」
と、彼女に声を掛けた。すると彼女は、
「新聞社の方だったのですね。どうりで、写真をいっぱい撮っていたのね」
彼女は、私のことを覚えていた。
「今日はおばあちゃんのお薬を取りに来ただけで、すぐに帰らなくちゃ」
という彼女に私が名刺を渡し、
「あの事故の時のことを少し詳しく聞きたいので・・・」
と、とにかくお知り合いになりたい一心で思い付いたままのことを言うと、彼女は携帯の番号を教えてくれた。
彼女は「大林 麻美」という名前で、携帯の番号しか教えてもらえなかったが、私は彼女がとても魅力的な女性だと思った。
私はその病院で健康診断を済ませると、そのまま出勤した。
私が社で、前の週のバスと軽自動車の事故の写真の原図を確認すると、彼女は姪浜にあるスーパーの制服を着ていた。
彼女は先週、大きな音がしたので、びっくりして店から出てきたようだった。
そのスーパーは私が帰宅する途中で、スーパーの店頭に店を出している「焼き鳥屋」で、何度も焼き鳥を買ったことがあるスーパーだった。
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