第3話 事故星女?

 私がたまたま逆走車とバスの衝突事故の現場写真を撮ったのはその三日後だった。

 その前日にデスクから「一杯付き合わないか」と誘われて屋台で飲んだため、私はいつも通勤に使っている車を社の契約駐車場に置きっぱなしにして帰宅した。

 そのため私は、その日はバスで出社した。


 私が乗っていたバスの前を走っていたバスが大きくハンドルを左にきると同時に、「ガシャン」という音がした。

「また事故か?」

 と思って、私は乗っていたバスから降ろしてもらった。


 事故にあったバスの前に回った私は、悲惨な状況を目のあたりにした。

 軽自動車がバスに突っ込んで、小さなお子さんが車外に放り出されていた。

 そういった犠牲者の写真は、撮っても新聞には載せられないので、私は道路に残っていたブレーキ痕や車同士のぶつかり方などの、その場の証拠写真になるものを各方向から写真に収めた。


「今、姪浜の交通事故現場にいます」

 と社に連絡すると、間もなく同期入社の西田君が車で迎えに来てくれた。

「こういった写真を多く取れるようになったら、スクープカメラマンとして他社の人達からも一目置かれるようになるね」

 西田君は、そう言ってくれた。


 私は社に行って、写真を新聞に載せるための写真選びや構図決めをした。

 道路に広がっている「血」や現場を遠巻きに見ている野次馬は、現在は意図的に写真からワンポイントで消去できる。


 その作業中、

(この娘、三日前に私が撮った写真の中にもいたのじゃないか?)

 と思われる女性がいた。

 

 私はその日の逆走事故の写真をデスクに上げた後、三日前の写真を確認した。

 確かに同じ女性だ。

 彼女は、前髪を額の左右から頬までたらしたヘヤースタイルの二十歳前後の可愛い顔をした女性だった。


 いつも事故現場に居合わせるなんて・・・

 私は、

「もしかして事故星女?」

 と思った。

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