第2話 いち早い報道

 私が勤務している「福岡毎日日新聞」の本社は福岡の天神にある。

 そのため、私の取材対象は主に九州管内で、それも福岡県内の事故や事件が主たる取材対象になる。

 報道カメラマンは事故や事件を取材する記者をサポートして現場の写真を撮ることもあるが、事故の第一報が入ると、社にあるバイクで現場に駆けつけることの方が多い。昔はそのバイクには新聞社の旗が付いていたが、現在では旗はついていない。


 私はそんな仕事をしている関係上、休みの日でも画素数が大きな動画も撮れるデジタルカメラを常に携行している。

 私が最近偶然に遭遇そうぐうした事故は、病院にタクシーが突っ込んだ事故と逆走した車がバスに衝突した事故だった。

 

 病院の事故の時、私はたまたま健康診断のため、その病院を訪れていた。

「ガシャン」という大きな音に、「交通事故」だと直感した私は、胸部のレントゲン検査の列から離れ、バックからカメラを取り出して現場に行った。

 事故現場が病院だったこともあり、被害者はすぐにお医者さんや看護師さんから手当てを受けていた。

 

 私は病院の玄関に突っ込んで大破しているタクシーや手当てを受けている被害者の写真と動画を撮った。そして私は、残っている健康診断の項目を次の週に先送りにしてもらい、すぐに社に帰った。

 

 私が撮った写真はその日の夕刊に間に合い、他社が翌日の朝刊でしか報道できなかった事故を写真付きで夕刊で報道することができた。

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