第5話 一時離脱
第四章
こうしてナカラヴァのバイクに乗り元凶の元となる場所までフルスロットルで走った。しばらくは会話などを続けて走っていったが、すごい突然に急ブレーキをし体が吹っ飛びそうになった。
「突然どうしたの?急に止まって 何かいるの?」
と僕がナカラヴァに対し質問をするとナカラヴァが目の前を見てと言いながら指をさしていた。その見た目はまるで神父のようだ。髪の毛は黄緑色に近い金髪でショートヘアの一風変わった美形な神父が僕たちの前に現れた。その神父が最初に言った言葉は
「わたしはヒルダ様の為に少し大変なことになると思いますがわたしはあなたたちを通すわけにはいきません」
と言ってきたので僕は不思議に思いながらこう返事をした。
「ヒルダって人が今回の元凶ってわけ?神父さんどうして空から飴を降らせていたんだ?」
目の前にある神父に対し疑問をぶつけると神父からの答えが
「わたしはあの方の笑顔を見たいからです わたしはあのお方さえよければ命すら...」
「あいかわらず危険な思考だねリンこの様子じゃあ逆に人々に導いていそうだね」
「何か知り合いのようだけどどんな人なの?」
「え?あの神父はクー・E(エレナ)・リンという名前で昔からのちょっとした知り合いだよ 本当にちょっとだけだけどね」
するとそのリンという名前の神父が僕たちの会話に割り込んで来て普通の表情をしながら
「ヒルダ様から危険を察知しわたしがここに来たということはやはりあなたたちはヒルダ様を倒しに来たということですか?」
と神父がものすごい真顔で普段と変わらないような声を出しながら威圧感を出していた。
「というよりなんで空から飴が降ってくるの?私ただのダジャレにしかみえないよ?神父さん」
静夏お姉ちゃんが神父さんに対し質問をしていた。それは僕も丁度思っていたところだ。するとリンさんが少し笑った表情をしているのに声が全く笑っていない低めの声でしゃべり出した。
「あれは天空からの紅い飴と言われるヒルダ様の欲望が雨として実現した姿です 詳しくは言えないけれどもつまり全て欲望の塊みたいなものなのです」
何事もなく淡々と説明をした後に神父がなぜその人に会いたいのかという疑問の顔が見えた。この状況を察してナカラヴァがこれを説明という名の苦情を言った。
「飴降るせいでたまに屋根突き抜けるんだけど今からお仕置きしていいかな?」
すると突然神父が今までにない声を出しながら
「悪いのはヒルダ様ではない! ただ欲望まみれなだけなんだ!」
と言っている。僕たちは荒い声の神父に向って代わりにこんなことを話した。
「でもそれはただの我儘なのでは?欲望まみれってことは」
その神父はそんなことも気にせずにただ声を荒らしながら僕たちに向ってこう語った。
「わたしはヒルダ様がいなければ今ここにはいない...わたしはヒルダ様に命を救われた だからわたしは命を懸けて必ずお守りをしているわけなのです」
それを聞いて僕はこの神父に不思議な因縁関係を感じていた。僕も静夏お姉ちゃんがいなかったら今この場にいないからだ。正直この人と戦うのは気が引けるけどしょうがない。僕はこのAI搭載の弓を使い牽制した。あくまで神父に傷つけずに戦うからだ。
「何だその弓は わたしの知る限りあの科学者に作ってもらえたようだが...?」
そう神父が疑問に思ったことを口に出すと静夏お姉ちゃんが
「凄いでしょ!0円で作ってもらったんだよ!いいでしょ~」
すると神父の表情が変わった。
「何ですって?あのザウが無料で?本当に言っているのですか?」
「ええと一応本当です 僕の為になぜか作ってくれた弓なので... これで飴を降らせる神をお仕置きして欲しいって言って」
神父の目が一層驚いているような目になっている。その美形な顔からは信じられないぐらいの顔をし、僕に対し様々な質問責めをしようとしている。
「まさかその弓を使ってヒルダ様を貫こうとしているのでは?もしそうならわたしが許さない」
なんとなくそのヒルダ様っていう特徴を神父に教えてもらおうとして質問などをした。
「そのヒルダ様ってどこにいるの?」
「あなたたちに教えるはずがないです 早く春霖堂に帰ってそこに居るお姉さんたちに優しく甘えておいでくれ」
「ヒルダ様の特徴は何?」
「だからあなたに教えるはずが...」
「こんな異変を引き起こしたからきっと偉大なんだろうな~ もしかしたら僕尊敬するかも」
「...」
「そうしたらこの弓ももういらないからその辺に捨てちゃおうかな~ もしかしたらヒルダ様の神父に僕なっちゃおうかな~」
「そ...そうかな?えへへ...」
ものすごい勢いで元凶を褒めていたのか神父が無意識に足を動かしている。よっぽど嬉しかったのかしばらく僕たちのことを無視しながら歩き続けている。
そして歩き続けて数分、館が見え始めてきた。僕は神父に声を掛けてみようとした瞬間、神父が後ろを向き僕が今までに見たことのない表情をしながら謎の褐色の肌に幼い見た目の人に向って泣きついていた。
「ふぇーん!またぼくやっちゃったよ~!」
さっきまで威厳のある神父がまるで子供みたいな振る舞いをしていて僕は結構驚いた。普段とは全然違う姿を見せられて逆に僕たちが困惑している。そして褐色肌の人が僕たちに対し威圧感のある事を喋りなぜか汗が止まらなかった。
「あら?そこに居るのは誰かしら?全く身に覚えがありませんの 誰ですの?」
「その人はヒルダ様をものすごーい褒めてくれた人だよ!」
「あらそううれしいわね でもあなたは神父さんですから目の前にいる人に対して神父らしくした方がいいわよ?その方が神父らしいわ?」
「え?そお?じゃあ...あなたたちはわたしに倒されるべk...」
すると突然謎の猫が大量に現れ僕たちは大混乱になった。一体どこから現れたのか検討が付かず呆然としていたところに僕たちの後ろに人影が見えたから静夏お姉ちゃんがその人影の所に行くとキノコ柄のスカートをはいていて上はパーカーを着ているポニテっぽい男性が近づいて来て僕たちにこう言った。
「あんたらは俺が倒す」
そう言いながら周りを猫だらけにし、神父たちはいったん館に逃げ込みその場からいなくなった。猫はというとぱっと見は猫だから触ってみようとしたらナカラヴァが大声を出しながらそれに近づいてはいけないと言い僕たちに警告した。
「この猫に近寄ったら何があるの?」
と僕がナカラヴァに対して質問をするとナカラヴァがとても落ち着いた声で説明してくれた。
「あの猫は一見無害の様に見えるけど中身はものすごい凶暴で下手したら虎よりも恐ろしい生物なんだ」
「え?でもこんなにいるけどどうするの?」
「方法は一つ...」
「方法は?」
「ひたすら逃げる事だよ」
割と予想と違った答えが返ってきて少し呆然としたが少し納得しつつ本当に戦わなくていいのかと更に質問をした。
「本当にそれでいいの?戦わなくても問題ない?」
「むしろ戦えば戦うだけ体力が消耗してその隙を狙われるからここは一時離脱した方が身のためだよ」
そう言いながらこの猫たちをスルーしながら館に入った。僕自身猫にそんなに猫が好きじゃないからスルーできたけど静夏お姉ちゃんは犬の次に好きな動物だからじっとしてられなくて説得するのに少し時間が掛かった。ついには諦めて僕の言う通りに従って渋々ナカラヴァさんと一緒に館に案内をしてもらった。
「ここが館内なのか...思っていたよりもなんというか妖しい色気があるというかなんというか...僕が体験した中では不思議な館だなぁ」
ここで静夏お姉ちゃんがナカラヴァさんに対して追い打ちをかけるように質問をした。
「そういえば私疑問に思っていたけどどうして館の中知っているの?」
するとナカラヴァさんがこう答えた。
「仕事で一回この館に入ったことがあるだけだよ 本当にただそれだけさ」
そんなことを言いながらナカラヴァさんが僕たちの方に向って唐突に叫んだ。
「あ!そこは罠が仕込んでいてとても危ないよ!」
「え?なにこの古風なカメラはなに?」
と静夏お姉ちゃんがカメラを手に取った瞬間、突然静夏お姉ちゃんがその場から倒れ僕は急いで静夏お姉ちゃんの元に立ち寄ったが、意識が全くない。一体どうすればいいか混乱してきた時ふとカメラの方を見てみると静夏お姉ちゃんの姿がそのままプリントアウトした写真がカメラの方に現像してきた。その写真を持つと微かだけど脈がありまるで体温があるがのように温かい。びっくりして思わず手から離れそうになりその写真が落ちそうになると僕は急いでその写真を空中で取った。ナカラヴァにこれは一体何だと聞いてみると
「この罠は相手を撮り意識を写真の方に移すという罠なんだ 一足遅かったか...」
更に続けてナカラヴァに質問した。
「どうして相手の意識に写真を残すという罠なの?この館の趣味なのか?」
「そこまでは詳しくは分からないけどとにかくそういう罠があるってことを覚えておけばいい とりあえず自分はこのお姉さんを見守っているからあなたはこの写真を持って異変の解決を手伝って欲しい」
「分かった じゃあ一回ここで別れだね」
僕はこの場を後にし階段を上り二階へ行く。どんな困難が待ち受けていても...
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