第5話 隣にいていいのは
今日はいつもより街が騒がしい。人も多くてうるさい。…えるに会いたい。でもまだ授業中……そう考えて、街を見渡した。普段ならいない人達が沢山いるのに気がついて、もしかして今日学校ない日…その結論に辿り着いた。えるに会える。そう思ってすぐにスマホを取りだした。
今すぐえるに電話─────。……は?なんでえるがソイツといるの───────?
「あっ!三浦くん、これとかどう?」
「おー。かわいいじゃん」
まさかほんとにデートできるとは。勢いで誘って断られなかった時も驚いたけど、今この状況に死ぬほど心臓が鳴ってる自分にも驚いている。
誘った後、詳しい日程とかの話をしてた時、なんか理由があった方がいいと思って、弟の誕生日プレゼント選びに付き合ってもらうことにした。
まあ全然嘘だけど。あいつの誕生日いつだっけ。
そんな嘘に騙されて、真剣に選んでる澄乃がかわいくて仕方ない。
色んな店を見て回っていたら、昼飯の時間になった。近くの店に向かおうとした時
「える何してんの。帰るよ」
知らない奴が現れて、澄乃の手首を掴んだ。
「えっ…さとみくん…!」
どうやらそいつは澄乃の知り合いのようで、その距離感から察するにこいつが例の幼馴染って奴なんだと気がつく。そいつは澄乃の手首を掴んだまま一人で勝手に歩き出そうとした。
咄嗟に体が動いて、そいつの前に立つ。
「おいおい!今俺がデートしてるんだけど。邪魔すんなよ」
「あんた誰」
鋭い目つきで睨まれて、俺も同じように睨み返す。
「あんたこそ誰?邪魔すんなって言ってんだけど」
澄乃からこいつを引き離すために俺は手を伸ばした。瞬間、視界がぐらつき気づけば胸ぐらを掴まれていた。
「えるに触んな」
目の前にいるそいつに睨まれた瞬間、感じたのは明確な殺意だった。
「────!!」
殺意、憎悪、嫌悪。その全てを混ぜ合わせたドス黒い感情を真正面から向けられ、俺の体は完全に固まってしまった。
俺から離れたそいつは澄乃を連れて人並みに紛れ姿を消した。
「…なんだよ、あいつ……」
モンスターは綴れない ぺんなす @feka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。モンスターは綴れないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます