第3話:「いえ」とはじつにひろい(勝手に入ってくんな!)
私は
「はるなさん、はるなさん、納豆」
「……あんた、素手で納豆って…………』
相変わらず、女の子に付きまとわれている私であるが、もうすぐ家につく。
……しかし、このままではこのゴキブリ小娘が家に上がってくる気がする…………。
「はるなさん、はるなさん」
「はぁい?(はぁ、だんだん返答もめんどくなってきた)」
「はるなさん、何が好き?」
「え!?(マジかよ新パターン来たぞこれ)」
「わたし、エビ好きー」
「へ~、意外と普通なんだね~(少し驚いた)」
「うん! それでそれで、理由わね~」
理由……? ただ単においしいからじゃなくて……!?
「パリパリしてるから~。」
「パリパリ?」
「しっぽが~」
「あー! そういうことね! 確かにしっぽパリパリしてるね~。私もそう思~う』
あれ?普通に会話しちゃってない? 私。
この
「あとね、あとね、はるなさん」
「うん?」
「ゴキブリの羽と感触が似て」
「 「 あーあーあああああー-----きー---こーえなー--いいぃぃぃーーーー! 」 」
やめて! エビ食べられなくなるからー!
「──あとね、あとね、かきも好きだよ」
「へ、へぇ~、柿か~」
「おいしい」
「うん、そうだ、ね」
「このまえね、アタマにおちてきた」
「そ、そう。痛かった……?」
「うぅうん。痛くはなかったよ、やわらかかったから」
「へぇ~、熟してたからかな~」
「うん、じゅくじゅく言ってて、食べごろだった」
「へぇ~、……じゅくじゅく……」
「確かね、となりのおじさんがばーべきゅーしてた」
「え? てことは柿を焼いてたの? 網の上で? そんなこと……あるのか……? うーん…………」
「おにわでばーべきゅーしてたんだよ。でも、あめがふってきたから、その``かき``は海に返してあげたんだ~」
「……かき、あの
「ここだぁ」
「……え? あ、あぁ家だ! いつの間に……」
「かぎ」
「うん分かってる……、え~と、鍵はどこにしまったか…………」
「まだ?」
「待って! 今出すから!」
「はーい」
「あったー!」
「わー」
「……あ、お母さん家にいるんだった。だから開いてるわ~。うわー時間無駄にした~。まぁそんなにじゃないか~』
「かぎってなぁに?」
「え? 鍵? 鍵ってのは──って! いつまで付いてきてんのよ! おうちに帰りなさい! でなきゃ交番に引き渡すよ! この人ストーカーですって言って……』
「あら、春奈。帰ってるなら入ってくればいいじゃない」
「ゲッ、お母さん!』
「早く、入りなさい。寒いんだから」
「あ、えっとお母さん、それよりこの子……」
「ほら! 早く入らないとかぜ引くよ! はるなぁ! はやくはやくぅ!」
「分かってるって! だけど……、ん?」
「だぁれ? その子、まさか……、お友達!?」
「ちが、違うって! なんか道ばたで会って、付きまとってきて……』
「まぁ! あの人見知りの春奈に友達が!?」
「違うよ! 私が友達作らないのは必要性を感じないからであって! 決して人見知りとかコミュ障とかじゃウンヌンカンヌン」
「そうだ。わたしは、はるなさんの友達だ」
「まぁ、大人に向かってため口で。かわいいわね~。あ、寒いでしょ。さ、入って入って」
「かたじけない~!」
「あ、お母さ……、違うって! こいつストーカー! ストーカーだって~!」
こうして私は、変態ストーカーゴキブリ小娘を家に入れてしまった。
撮りじゃんVide! イズラ @izura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。撮りじゃんVide!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます