キャラクター立案

 さて、スケルトン(シナプシス)を作るためにも、そして何よりもライトノベルでは大事な要素、キャラクターの立案・設定です。

「先ず、キャラ在りき」という方も多い印象ですが、筆者は「キャラの魅力は造形や属性ではなく、ストーリーである」という持論があるので、キャラを作る作業が比較的後回しにしています。

 確かに、先にキャラを作っておけば脳内でも視覚的イメージが得やすく、拡張していけば世界観設定もできます。

 ですが、やはり小説はストーリーありきですし、土台となります。登場人物は文字通り、「舞台に立つので」土台の上にある存在です。そういう意味でも、以前の記事にもある通り、テンプレ的なキャラを仮組みしておき、名前とか容姿とかは後で組み立てます。


 この作業ではAIの活躍が無さそうと感じるかもしれませんが、名前の意味、性別の意味、性格設定とストーリーとの関連など、キャラに必要な要素に妥当性や説得力があるかどうかをAIを使って検証・改善していきます。

 この作品での主人公は、本編にまだ登場していませんので、また別のエピソードで紹介します。次点で大事なキャラとなる、進展上重要なキーキャラクターについての事例を紹介します。


■ キーキャラクター:理系女子科学者


 この次点で決めていたのはこの程度です。取り掛かりとして十分でしょう。

 幸いにもモチーフ元作品が多くあるので、その中からストーリーにマッチしそうなキャラを仮組みしておきます。

 また、ChatGPTからのリスク提示の内容も踏まえつつ、ベタでいいけどベタ過ぎない設定を行う必要が出ています。


 前回に引き続き、同じトピックを使用してChatGPTに聞いてみます。


プロンプト:

物語進行上、主人公の次に大事なキーキャラクターの設定を行います。

一番最初のキーワードは「理系女子科学者」です。粗筋やストーリー全体の流れも同時に組み立てています。

この前提の元、まずは最低限必要な追加要素を提案してください。設定例も併記してください。


<!-- ChatGPT Answer -->

「理系女子科学者」キャラクターの設定をより深めるため、以下の要素を考慮することで、物語の進行やテーマを引き立てられるでしょう。


1. 専門分野

- 物語における科学要素を深めるため、科学者の専門分野を具体的に設定するとよいでしょう。量子物理学、バイオテクノロジー、サイバネティクス、遺伝子工学などが考えられます。例えば、彼女が量子情報学の専門家であれば、物語の量子力学のギミックや、未知のテクノロジーの鍵を握る存在として活用できます。


2. キャラクターの性格と価値観

- 主人公との対比を意識しつつ、物語の緊張感を生むため、冷静で理知的だが、どこか皮肉っぽさがある、あるいは、研究に対する情熱が強くて理屈っぽいキャラなどにすると印象に残りやすいでしょう。

- 設定例:何事にも論理を重んじるが、感情表現が苦手なため周囲から誤解されやすい。科学のためなら危険もいとわず、実験への好奇心が強い。


3. 物語への貢献度と役割

- キーキャラクターとして物語進行に深く関わる立場を明確にし、主人公とともに世界の謎を解き明かす役割を持たせるとよいでしょう。

- 設定例:未知のテクノロジーを解明しようとするが、徐々にそのリスクに気づき、主人公との対立や葛藤が生まれる。


4. 背景と動機

- 彼女が科学に向き合う動機や、過去に経験した出来事を設定することで、キャラクターに深みを与えられます。過去に家族を病気で失ったことが科学者としての道を選んだきっかけ、などのバックストーリーも効果的です。


5. 外見や性格の特徴

- 一目で「理系女子科学者」としてのキャラを感じさせる設定を盛り込むと、読者にとっても親しみやすくなります。外見はラボコート姿や、無造作な髪型などで科学者らしさを出しつつ、性格は徹夜続きでもお構いなしの実験中毒な一面を持つなども面白いでしょう。


6. 特別なスキルや知識

- 物語における難題を解決する役割を担うスキルがあると、彼女が物語の進行に欠かせない存在として印象付けられます。

- 設定例:量子力学の専門知識を活かし、古代のテクノロジーや未知の量子領域にアクセスできるスキルを持つ。

<!-- End of Line -->



 このように、妄想だけで作るのも無論問題ありませんが、AIの手助けを得れば、どんな要素が必要か、ストーリーへの絡ませ方のヒントを得る事ができます。

 この回答をテンプレートとし、追加設定のプロンプトを作成します。


プロンプト:

1. 専門分野:神経情報工学、バイオテクノロジー

2. 性格  :冷静沈着。頭の回転が早く議論で負けることは少ない。負けず嫌い。頑なな部分がある。理系女子。

 価値観 :論理ではなく人間の感情、倫理を重んじる。

3. 役割  :技術説明キャラ。主人公と親友。主人公が登場するまでは紅一点。

4. 背景  :高校時代に学んだ生物学に興味を引かれ、成り行きもありそのま職業となる。

5. 外見  :身長164前後、細身、部分義体化、黒髪ロングヘアー

6. 得意  :仮想理論構築。護身術。


 このように組立てました。テンプレートで二重化されているところは省きつつ、必要なもの、不必要なものに分け、自分の妄想というエッセンスを加える事で、完全テンプレキャラではなく、若干オリジナル味を出せます。

 これをChatGPTに投げつつ、この設定の妥当性を検証します。


<!-- ChatGPT Answer -->

この設定には、多くの興味深い要素が含まれており、ストーリーにおいて重要な役割を担うキャラクターとして妥当です。以下、検証と改善の提案を行います。


■ 妥当性と強み

1. 専門分野:「神経情報工学」と「バイオテクノロジー」の専門性は、ポストアポカリプスで高度な技術や人類の復興・サバイバル要素を扱う上で自然な選択です。こうした背景により、彼女が技術的な問題を解決し、人類の生存に欠かせない知識を提供する役割が期待できます。


2. 性格:冷静沈着かつ議論に強い性格は、理系女子科学者としてリアリティがあり、物語内で技術解説や理論構築が求められる際にも効果的です。また、「倫理を重視する」という価値観が、キャラクターに深みを与え、科学者としての葛藤や人間的な側面を描くのに役立つでしょう。


3. 役割:主人公の親友であり、技術的なサポートや意見交換ができる「相棒」としてのポジションは物語の推進力になります。さらに、物語の前半での紅一点としての位置づけは、読者の注目を集め、彼女が重要人物であることを印象づけます。


4. 背景:高校時代から生物学に興味を持ち、成り行きで今の職業に就いたという設定は自然です。キャラクターに一貫性があり、バックストーリーとして無理がありません。


5. 外見:細身で部分的に義体化している黒髪ロングという設定は、SFらしさと現代的なリアリティのバランスが取れています。また、義体化の度合いを描くことで、彼女のキャラクターに物語的な深みを持たせられます。


6. 得意:「仮想理論構築」が得意という点は、彼女が技術的な難問を解く場面で使える設定です。また、護身術のスキルを持たせることで、科学者でありながら自らの身を守る強さがあり、自己完結するキャラクターとして独立した存在感を発揮できます。


■ 改善提案

- 倫理観と技術の衝突:冷静沈着でありながら倫理を重んじる価値観を強調することで、物語の中でAIや技術の使い方に対して葛藤するシーンが生まれやすくなります。たとえば、彼女が「ある技術」を使うか否かで揺れる場面を作ることで、より共感できるキャラクターに仕上がります。


- 義体化の具体性:義体化の具体的な範囲や機能についても、もう少し明確にすることで読者に彼女の「サイバネティクスの専門性」や「テクノロジーとの関わり方」が伝わりやすくなります。例として、義体化が実用的な手段であるのか、事故などのトラウマによるものかで、キャラクターの背景により深みを持たせられます。


- リーダーや他キャラクターとの関係性:「負けず嫌い」という特性が他キャラクター(特にリーダー)との間で発揮されると、グループ内でのダイナミクスが生まれやすくなります。

<!-- End of Line -->



 この検証を受けてブラッシュアップを繰り返しつつ、追加要素が必要そうに感じたら、「続けて、追加要素を羅列してください」という一文を加えたプロンプトを投げる事で、キャラの作り込みが段階的に行えます。

 もちろん、AI任せだけでなく自分好みにしていく為に、意図的にプロンプトを改善したりと工夫してみてください。


 ひとまず自分好みのキャラクターが仕上がってきたら、全ての項目に意味(設定根拠)を持たせる事が大事です。ありきたりなキャラだけど、この作品の独特さを混ぜ合わせて、オリジナリティを醸し出すのに重要な作業となります。

 これもAIサポートで組み立てても良いのですが、できるだけ自力で行った方がオリジナリティを出しやすくなりますし、本文執筆時に矛盾を生じにくくなります。

(行動による記憶の強化)


 現時点ではこれ以上の情報公開は行えませんが、基本的な流れは以上となり、これまで通り何度も反復して強化していきます。

 筋トレのようなものですね。


 最近では多くのLLM-AIで画像を読み込む事ができるので、参考になりそうなゲームやアニメの画像を拝借し、ビジュアル的な印象を出力させた上で、キャラクターにエッセンスとして盛り込む、などの活用方法もあります。

(※:但し、著作権保護の観点に留意して取り扱う事が大事です)


 キャラクターの枠組みは、この段階である程度固めてしまいますが、さらなる肉付けや設定根拠を強化する為には、ストーリーの構築が必要です。企画内容とは違い、キャラクターの要素は、少なくともスケルトンから全体ラフロットを作る間で、同時並行で組み立てていきます。

 ですので、独立した作業としてはここまでになります。


 思いついた先からキャラの肉付けを行う事は悪い事ではありませんが、思いつきだけで組み立ててしまうと、エタる(エターナルする=永遠に完結しない)確率が徐々に上がってきてしまいます。また、本文執筆中に筆が止まりやすくなり、ユーザーの執筆モチベーションやメンタルヘルス的に悪影響を及ぼす原因にもなります。

 筆者自身も、繰り返しエタった経験があるので、これらが原因であると経験則から学びました。その閑話や予めのリスクヘッジを、AIを活用して回避する事が重要であると確信が持てます。

 遊びだけど全力で遊ぶ為には、やはり日々の努力や積み重ねが最終的に成功への近道となります。


「誰でも簡単に、AIを使って小説で稼げる秘訣!」


 という類の記事自体は否定しませんが、確実に儲かるのであれば、態々これだけ長いドキュメント群を作成しませんし、核心的な情報公開もしません。

 ビジネスとして成立しているので、その存在や行動自体は否定しませんが、少なくとも筆者は好んでいません。ご飯を食べるためとはいえ……。


 キャラクターの立案、という意味ではここまでになります。今回は比較的分量が少なく済みました。

 実例としてのキャラクター組立てについては、前述の通り物語全体との兼ね合いが強い部分なので、そちらで記載する予定です。




 今回は4.5千文字で済みましたね。それでは一旦お別れの時間です。

 そうそう、キャラクターに「ツンデレ」の要素を入れるかどうか、執筆開始しても迷っているJCに祝福をください。

 それでは次回、お楽しみに。






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