Day24「光った! 電飾星が光ったよ!」

 エンジンが始動した次の瞬間、暗闇に沈んでいた遊歩道ボードウォーク沿いの商店群ガレーリアに、一斉に灯が点った。

 通りの並木では、色とりどりの電飾星イルミネーションさえもが美しく明滅している。


 まるで魔法のようだったが、それはあの紳士が構築してくれた、飛行艇からの非常給電系統のおかげだった。つまり、あくまで科学の力によるものだ。

 しかし、その瞬間を目撃した子供たちにとって、それはまさに降誕祭クリスマスの奇跡だった。


「光った! 電飾星イルミネーションが光ったよ!」

 運河に面したビルで闇におびえながら過ごしていた子供たちは、窓の向こうに現れた風景に眼を輝かせて歓声を上げるのだった。


 明るい灯が点ることになった「運河」沿いの商店群ガレーリアには、拠り所を求める人々が集まった。

 この夜、この巨大な都市で、ここは降誕祭らしい賑わいを見せた唯一の場所となったのだった。

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