Day10「セバスチャンさんの斡旋してくださった方」

「あら、こんにちは。あなたが、セバスチャンさんの斡旋してくださった方なのね」

 女性の顔が明るくなった。

 セバスチャンと言うのは、あの手配師のことだ。もちろん、立派な偽名だが。

「わたしは、パティシエールのロザーナ・ミリアといいます。このお店の、店長をしています」


 面接などすっ飛ばして、明日からでもすぐ来て欲しいと言われて、まずは制服を着てみることになった。

 手配師の言った通り、フリルだらけの白いブラウスと、クラシカルなピンクのジャンパースカートの組み合わせ。

 長身のビネットにはちょっと裾が短めのようだったが、どうにかおかしな見た目にはならずに済んだ。


「うん、とっても似合ってますよ」

 かわいらしい服装に身を包んで、どことなく居心地の悪そうなビネットに、ロザーナ店長はそう言って微笑んでみせた。

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