第4話

この世に生を受けてまだまもないだろう私達兄弟は、施設の前に置き去りにされていたそうだ。



紙に書かれた走り書き。


"とおる・なち

誕生日は20xx.x.xです

育てられなくてごめんなさい。"


私たちは、親に捨てられたのだ。





"アネモネ"には、園長先生と、薫先生、あとは交代で何人かの大人が手伝いにきたりしていた。


当時、そこで暮らす子供達は私たち兄妹の他に、数人いた。


たまにはケンカもしたりしたけど、まぁ仲良く暮らしていたと思う。


施設に暮らしてるってだけで、いじめられたこともあったけど、お互い助け合って生きてきた。


私たちはお互いを大事に大切に、ずっと一緒にいようと決めていた。


でも、そんな思いは、大人の保護下で守られてる私たちにとって。

一瞬でくだかれてしまう、ちっぽけな感情だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る