第2話
「なち、どうした?具合でも悪いのか?」
部屋で一人、電源を落としたテレビをぼーっと見る私に声をかけてきたのは、双子の兄、とおる、だった。
「ううん、大丈夫。なんかぼーっとしちゃってたよ」
はははっと笑いながら、とおるに返事する。
「なら、いいけど…。身体しんどかったら、ソファーにでもいいから横になってな。」
「うん、ありがとう。」
「春とはいっても、まだ冷えるから。ちゃんと暖かくしてなきゃだめだよ。」
優しいとおるの言葉に、もう一度ありがとうと伝える。
「今日の夕飯はなちの好きなハンバーグだよ。デザートには前に美味しいって言ってた店のプリンもあるからな」
プリンの入ってるお店の箱を見せながらニカッと笑うとおるに、なんだか申し訳なくて。
「私も手伝う。二人で作ったら早くできるし」
立ち上がると、急いでキッチンまで向かい手を洗う。
冷蔵庫の中から材料を取り出してテーブルに並べてると、着替えてきたとおるが私の横に並んだ。
なんか、新婚さんみたいと心の中で思ってると。
「結婚したての夫婦みたい。俺たち、兄妹なのに(笑)」
「私も今、おんなじこと思ってた‼️」
さすが双子だなと、笑いながら私の頭をわしゃわしゃする。
「もう、髪の毛乱れるからやめてよね」
とおるを軽くにらむ。
でもさ……と、とおるが小さくつぶやく。
「また、こうしてなちに会えて、一緒に暮らせるようになってよかった」
笑いながら優しい目で私を見るとおる。
「うん、私もだよ…」
とおるの言葉に。
私は遠い遠いあの日の悲しい別れに心を馳せた。
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