幕間 教えて! ミキナちゃん! ショート・プロヴァーズ編

「ショート・プロヴァーズ。結構気に入っている銃」

「そ、そうか」


 自慢ではないが、俺にトーク力などない。

 特に、異性と話すスキルなんざ持ち合わせてはいない。

 そんな俺が前世で良い思いが出来る訳もなかった。

 じゃあ、ここでスキルを上げればいいじゃん。

 と、少しは前向きに考えたいところだが――。


「元々、この銃はね、電磁パルスのような現象を発生させようというコンセプトで造られたんだって」


 トークの内容が重い。

 やべーよ、これだと初期レベルでドラゴンと殴り合いを強いられているもんだ。

 そして、この状況から逃げられないというおまけつきだ。


「で、で、電磁パルスというと広範囲の電子機器を使えなくして、ライフラインも破壊する奴か……。いや、それだったら、電磁パルスそのものを起こせる銃でいいんじゃないか?」

「うんとね、ショート・プロヴァーズの造られた世界では電磁パルス攻撃イコール大量破壊兵器の使用に該当するっていう国際軍事法こくさいぐんじほうが定められていたんだって」

「なるほど。下手にその国際軍事法に違反すると、世界各国から非難されて最悪孤立することになるのか……」

「うん。それでも、電子機器や搭乗兵器の無力化が出来るのは魅力だから、そんな感じの武器を造りたいって案が出たみたい」

「それで、ショックゼリーをばら撒く銃を造ったのか……」

「元々は、飛行ドローンから散布する方式だったみたい」

「あ、そうか。そっちの方が効率良いもんな」

「でも、飛行ドローンが運用しにくい森とかでも運用が出来るし、色々と使い道があるんだよ」

「中々ユニークな銃だよな……」


 俺が頷くと、ミキナは目を輝かせる。

 その輝きを目にして、とっさに身を震わせてしまう。


「そう、面白いんだよ。ショート・プロヴァーズは使いようによっては敵の空中ドローンにも対処出来るんだよ――。他にもね――」


 誰か教えてくれ。

 俺よりもトーク力が優れているナイスガイならば、きっとこの状況から切り抜ける方法が分かるはずだ。

 デウス・エクス・マキナの娘の機嫌を損ねないような、素敵な方法が――。

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