エピローグ
恋や愛がよく分からないとは言いながら、恋愛が人に齎す感情を見聞きして知っているミヤビは、わたしに彼氏が出来ると、わたしの部屋に置いてある自分の服を全て持ち帰って、泊まりに来るのをやめる。
自分には理解出来ない感情だとしても、自分以外が持ち合わせてる感情を無視しないところは「いい奴」だと思うけど、それなら過去の彼女たちの気持ちも、もうちょっと考える事が出来なかったのかって思ったりもする。
でもまあ、「自分の彼女」となると、話は別になるのかもしれない。
ミヤビはきっと、過去の彼女たちの気持ちを考える事が出来なかったんじゃなくて、考えようともしなかったんだろうと思う。
だとしたら、わたしはミヤビの過去の彼女たちよりも、気持ちを考えようとするくらいには、大事にされているんだろう。
そうであるからこれから先も、わたしとミヤビの今の関係は続いていくんだろう。
そう思ってた。
そこに何の疑いも持ってなかった。
だから。
「まだよく分かんねえけど、俺もしかしたら、守ってやりたいって、お前が言う王や姫より優先したいって、そんな風に思う女、見つけたかもしれねえ」
ちょっとばかし格式が高いとかっていうホテルに行った数ヶ月後、そんな言葉を吐いたミヤビが、持って帰る為に自分の服を全部袋に入れて合鍵を返してきた時、言葉に詰まって何も言えなかった。
合鍵を受け取った時、酷く悲しい気持ちになった。
それがどういう「悲しい」なのかは分からなかった。
どういう「好き」かが分からないのと同じくらい分からなかった。
ミヤビに対して一体どんな感情が、わたしの中にあったんだろう。
でもまあそれが何であれ。
他人の
Other's Knight 完
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