第19話 遠くの声

小説を書くというのは、真っ暗な道をひとりで歩くようなものだと、矢芝は思います。


あるいは、真っ暗な海を、ひとりでひたすら泳ぐようなものだとも。


ひとり、ずーっとひとり。


その行く先が、求めた場所なのかは分かりません。


でも進まなければ、どこにも辿り着くことはできません。


その果てしなさに、ただ疲れてしまう時があります。


なぜ、こんなに辛いことをしているのだろう?


どこまで頑張ればいいの?

いつまで頑張ればいいの?


今、自分はどこにいるの?


そんな時、ふと耳を澄ますと、かすかに、ほんとうに微かに、声が聞こえます。


今、自分はどこにいるの?

…と。


ああ、誰かも同じ想いで、この果てしない道を進んでいるんだ。


ひとりだけど、ひとりじゃない。


だから矢芝も、声を上げます。


ここですよ!

…と。


気づいてくださったのなら、嬉しいです。


あなたの声は、矢芝に届きましたよ。


ありがとう。

元気がでました。

また進んで行けます。


だからあなたも、きっと進んで行って下さい。


進む先に、求める場所がありますように…


矢芝も、あなたも。



















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