第18話 自分、不器用ですから


不器用です。


すごく不器用です。


靴紐を結べるようになったのは、中学生になってから。


三つ編みができるようになったのは、大人になってから。


編み物は、大人になってトライしましたが、まっすぐに編めませんでした。

どうしても、目が減って行ってしまって、どうにもなりません。


三角のおにぎりは、いまだに作れません。

作ろうとすると、謎の形になります。

矢芝のおにぎりは、丸一択。

しかもデカい。


あやとりは、三本川しかできません。 

あれを「取る」って、どういう技術なのか、いまだに理解できません。

のび太君を心から尊敬します。


昭和の女子小学生は、なぜだか手芸が大好きで、


リリアン編みやら、

ビーズ編みやら、

フェルトのマスコット作りやら、

折り紙やら、


いろいろ流行ったけど、どれも矢芝にはできませんでした。


不器用なのは手先だけではありません。


習っていたダンスだって、覚えるのが遅く、

長く習った割に、できないことの方が多かったです。


お絵かきソフトも、要領を飲み飲むまで、すごくすごく時間がかかりました。



矢芝は、何事もできるようになるまで、人の倍かかります。



けれど今、それらが何とかできるようになったのは、

こんな矢芝に寄り添って、

優しく根気強く、教えてくれた友人や先生が、その時々に居てくれたからです。


そして矢芝自身も、できない自分を認めることで、できるようになりました。


いつかは、できるようになる。

百回やれば、できるようになる。



それでも、結局できなくて、諦めたこともありました。


矢芝ができるようになるまで、待ってもらえる環境ばかりでは無いのだと、学びました。


この先もきっと、できないことが待ち受けているでしょう。


でも、「自分、不器用ですから」

と言って、許してもらいながら、

できることが、少しでも増えるといいなと思います。


ね、健さん。


あ、高倉 健です。

マツケンじゃありません。


念の為。





















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