第3話 アイドルの敵はアイドル?

 その日の放課後、私は図書館で少し考え事をしていた。一応図書委員会に

在籍はしているものの、金沢委員長が司書として業務に当たっていて、直属の

委員達がこの広い図書館に対応出来ている。途中で入った身としては業務の

ひとつでも覚えておきたいものだが、『あなたは選挙の事だけ考えてなさい』

という委員長の一声でこうして椅子に縛られているしかなくなった。

…そりゃあ、一度落選した身を応援してもらえるのは心強いけど。でも、

何も考えていない訳ではない。一年の時とは違う。頼れるものがある。

今度はこちらから仕掛けるくらいの気概きがいでやらないと、生徒会長にはなれない。

 「あ、やっぱりここにいた。」

そう言って向かいの席に座ってきたのは、親友の一人である京音々みやこねね。最初は

『使える』と思って私から距離を縮めたが、今はその不遜ふそんな思いを捨てて

無二の親友として私の目標を支えている。私の信頼する仲間の一人。

「舞はバンド練に行って、愛は先輩と一緒に買い物だって。こうやって

一対一で話すのも、随分と久しぶりな感じするね。」

「みんなやる事が出来たってだけだよ。良いことじゃん。そうだ聞いてよ!

生徒会長の妹が私達みたいに役員候補をしっかり選んででね。その子が

私が生徒会長やってた時の後輩でさ、美濃部って言うんだけど…。」

「…美濃部?美濃部春って子?」

ネネの表情が一瞬曇った。何か因縁めいたものでもあるのだろうか。

「その子さあ…ちょっと『元アイドル』として気になるんだけど。また

会う日とかあったりする?その時あったらアタシも連れてってよ。」

どういう考えからなのか見当けんとうもつかないが、そのお願いは聞き入れておいた。

『アイドル』生徒会長なんて二つ名が付いているのが、本職としては

気に障ったりするのだろうか。また何か知らない一面が出てきてはいるが、

ここでは詳しく触れないでおこう。

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