異世界幻想記

@dandyitakeneko

第1話転生

「ドン」


それは突然の事だった。体全体に稲妻が迸るように全身に衝撃が伝わる。掠れゆく意識の中、視界に俺の血を浴びたトラックと顔面蒼白の男を目視し、俺は意識を失った。


「うん?」


目を覚ますなり俺はそんな素っ頓狂な声を上げていた。


「俺は確かトラックに跳ねられて...」


意識が鮮明になっていき俺は直ぐに体を確認する。


「なんとまさかの五体満足だ、」



状況を整理しよう、俺はトラックに轢かれ、意識を失った。なら生きているのなら病院のベットで包帯ぐるぐる巻きにされているはずだ。

しかし俺は今、森にいる!!

そう森だ!!!???

ここは天国だとでも言うのだろうか。


「とりあえず歩くか、」


俺は情報を入手するために森を歩くことにした。木々の匂いが鼻腔をくすぐる。凄く濃厚な香りだ。俺の通っていた学校はThe都市高のような物々しい機械だらけの学校で、自然とはかけ離れた場所にあった。こうも木々で満たされていると心が穏やかになってくる。俺は軽快にステップを刻みながら森の奥へと歩を進める。すると民家のようなものがあった。しかし、その風貌は日本の建築とはかけ離れた様子だ、胸の鼓動が高まる。全身の血液が沸騰するのを感じる。徐々に登ってくるソレを俺は豪快に吐き出す。


「異世界転生来ちゃァァァ!!!!!!」


ひときり叫び終わったあと、俺は古びた家から鋭い眼光を飛ばしている同年代程の女性を目撃する。


やばくね?即警察に通報案件である。


俺は害がないですよと言わんばかりのスマイルを貼り付けながら女性に声をかける。


「おはようございます。」


我ながらコミュ障である。俺の会話デッキはもう天気の話しかない。


「え、えっとおはようございます?」


彼女は困惑したような表情を浮かべながら返事を返す。


「い、いい天気ですね!!」


もはやこの会話に中身などないだろう...


「は、はぁ...?あの、ベルドラの森で何を叫んでいたのですか?」


「いや、あのちょっと理由がありまして、

そ、そんなことよりベルドラの森とは?」


「ベルドラの森はここシュトラ王国北西にある巨大森林の名称です。もしや、外国の方ですか?」


「あ、そうです!外国から来ました!」


とりあえず転生したことは伏せておいた方がいいだろう人体実験なんてされた日には...

泣いちゃう


「自己紹介がまだでしたね、私はルリィです。」


金髪の髪に華奢な体、吸い込まれそうなほどの魅力的な眼差し、これは!!美少女だ!!

確かに胸部の膨らみはそこまで主張が激しくは無いが、控えめな方がそそるというものだ。


「あ、あのそんなジロジロと見ないでください...」

少し顔を紅潮させもじもじとしたその仕草に目が釘付けになり慌てて視線を逸らす。


「ご、ごめん俺の名前は...」


日本の名前だと不自然だろうか?

そう考えた俺はこう名乗ることにした。


「俺の名前はシンだ」


「シンさんですね!よろしくお願いします!」


彼女はそう笑い家へと招待してくれるのだった。

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