第2話 スーちゃんのパパとママ
「こんにちは」
お客さんが二人やってきました。男の人と女の人です。女の人を見てかっちゃ
んはびっくりしました。肌の色もクルッと巻いたかみの毛も、何より優しくて大きな目がスーちゃんにそっくりです。
「わぁあ~ あなたはかっちゃんねっ! いつもスーと遊んでくれてありがとう」
女の人が大きな声をあげて、かっちゃんをギュギュっとしました。
「これからも仲良くしてね」と男の人もかっちゃんの手を握って言います。
「スーちゃんのパパとママだよ。かっちゃんがスーちゃんと仲良しだから、おじいちゃんたちも仲良しになれたんだ」
ビックリしてしまったかっちゃんにおじいちゃんが言いました。
パパは白い肌でかみは茶色いけど、笑うとしわが寄るパパのはなは、スーちゃんとそっくりです。
「ほんとだ、スーちゃんのかみとはなだ」とかっちゃんがいうと、パパとママは見つめあって、うれしそうに笑いました。
かっちゃんはスーちゃんの家に遊びに行った時、かべにはってあった写真に赤ちゃんのスーちゃんとお父さんとお母さんとパパとママが写っていたのを思い出しました。
スーちゃんが「これはスーのパパとママ」と指さしたので
「え~ スーちゃんのお父さんとお母さんはこっちでしょ」と言ったら、
「そうだよ、こっちはお父さんとお母さんで、こっちはパパとママ。おともだちだったんだよ」ってへんなこと言うなって思ってたら
「スーのパパとママは事故で死んじゃったの」
ってスーちゃんが泣きそうになったから、その話はおしまいになったんだ。
え~っ! だったら、ここにいるパパとママはオバケ?
「ここではオバケじゃないよ。でもかっちゃんたちの世界に行ったらオバケなのかな」ってパパが言った。すごい、思ったことがわかるんだってかっちゃんはおどろいた。
おじいちゃんがお花のお茶を入れて来たのでみんなでテーブルにすわっておしゃべりしました。
パパとママはスーちゃんが自転車に乗れるようになったのも、かっちゃんとないしょでアイスを食べたのもみんな知っていました。
かっちゃんはパパとママを見て本当にスーちゃんにはパパのはなもママのかみもいるなあと思いました。でもちょっと気になります。
「ねえ、じゃあスーちゃんに、お父さんとお母さんと〝おんなじ〟はないの?」
おじいちゃんはげんこつでかっちゃんの胸を軽く叩きました。
「ここにあるよ、スーちゃんをじぶんたちの子供にして、いっしょうけんめい育てているお父さんとお母さんのやさしい心がスーちゃんのここにはあるだろう」
かっちゃんの頭の中にスーちゃんのやさしいえがおが浮かびました。
「ほんとだ、ママにもにてるけど、いつもやさしいスーちゃんはお母さんにもそっくりだ」
「そうだね、スーちゃんはお母さんとも〝おんなじ〟だ」
おいしいお花のお茶やお菓子を食べてすごすうちに、かっちゃんには、ここはとくべつなところで、もうここにきておじいちゃんに会う事はできないんだ、とわかってきました。
「ぼくがにゃんこの手をしたらいつでもおじいちゃんに会えるんだよね」というと、
「そうだよ、おじいちゃんはこの〝おんなじ〟でずっとずっとかっちゃんと一緒にいるんだよ」
と言うと、おじいちゃんはにゃんこの手をしてかっちゃんの手のつめとおじいちゃんのつめをごっつんこしてカチカチと音をならしました。
その音を聞いているとかっちゃんはすごく眠くなってきました。
「かっちゃん かっちゃん」お母さんの声です。お花とおじいちゃんのにおいがお母さんのにおいに変わっています。目を開けるとお母さんが泣いています。ぼくが寝てしまったからだろうか?
「ごめんね ぼく…」
「かっちゃん おじいちゃんがなくなったの。もう会えなくなっちゃったのよ」
と言ってお母さんがギュギュっとかっちゃんを抱きしめました。
「ぼくね、おじいちゃんにあってたんだよ」って言おうとしたけど、向こうでおとうさんが泣いているのを見たら、かっちゃんもなんだかとっても悲しくなって、何にも言えずにわんわん泣いてしまいました。
やっぱりいやだ! もうおじいちゃんと遊べないなんていやだ! と思ったのです。
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