第6話 親友を尽くせる訳
「お前ら何回戦する気だよ。俺としてはバッチコイだけど」
『え?』
『あ、ごめん。夢中になってた。もういい?』
「バッチリ。脳が快復した」
こっちの事、完全に忘れやがってこいつ等・・・羨まけしからんもっとやれ。
いや話があるから後でしてくれ。
「悠斗。またこんなの起きると面倒だからよ。悪いが佐藤が通う美術大学の近くにある大学まで転校してくれねえか?」
『え、でもお金かかるし、転校するにしてもお金無いよ。というか家どうするの』
「そこは俺が工面するから任せろ。財閥の御曹司だ。ちょちょいと金を見せれば一発だ」
『やだよそれ・・・そのために友達してるんじゃないんだからさ』
くぅ~!コイツは本当!俺の欲しい言葉をくれる!俺が令嬢だったら間違いなく落とされてる!だからこそ出せる手段がある。
信用が無いと絶対できないからな。他の奴には絶対しないが、悠斗にだけは使える手段を提示できる。前回これ提示して断れてるが、佐藤がこんな状態なら流石に折れるだろ
「何。要は奨学金制度みたいに、社会に出た時に働いて返してくれれば良いからよ、今だけ飲んでくれねえか?流石に毎度送り届けるのかと思うと面倒でな」
『お願いです悠斗。こうやって会って分かりました。いないと寂しいし怖いです』
『遥・・・~っ!分かった!飲むよその案件!』
「よっしゃあ!」
あの頑固者の悠斗が折れた!理屈と感情で折りにかからないと悠斗は折れないから、地味にここが欠点だ。
はーどうせだしこれも提示するか。今ならこの要求も飲むでしょ。
「で、悠斗。どうせだし佐藤と同棲しないか?その方が俺としても工面しやすいし、佐藤も安心できるだろ」
『え?・・・良いの遥』
『さっき言ったけど悠斗だったら大歓迎です!むしろ悠斗じゃないと嫌です!』
「てことらしいので。明日お前ら一緒にこっち来い。歓迎してやっからよ」
俺はじゃあなと言ってビデオ通話を切った
・・・俺がここまで悠斗を尽くすのにも訳がある。
俺も悠斗と幼馴染だ。だが、佐藤とは腐れ縁と言うべきだろうな?友達の友達って関係で仲は悪くは無いが良くも無いって感じだ。
で、俺は御曹司なので、まあ集る集る。おこぼれを預かろうと近寄ってくる奴らが。
俺はそれを人一倍感じるから、やさぐれて金髪に染めて不良共と過ごす事があった。
だがそんな中、悠斗は殴り合いをしてでも連れ戻しに来た。俺が一度でもお前のお金をせびった事が、悪用しようとした事があったかとキレられたっけ。中学だと、あん時くらいか?一人称が一時的に俺に変わったのは。
お金で釣られない友人がいるって事に気づいた俺は、悠斗だけは裏切りたくないと思った。実際、依頼を出してきた合成写真の件も、佐藤の一人暮らしの家探しも二人は謝礼金だしてきたしな。こういうのは信用が大事って親が言ってたとか言いながら。
なので転校とかの莫大な資金も俺は信用して提示できる。二つも分けたら面倒だから同棲を提案してやったけど、こっちは性癖の為だ。
「あいつら、仲良く帰って来いよー」
俺はあいつらの歓迎パーティの準備でもしますか
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