第10話~ノエルと異能~

父さんとの約束をすっぽかし、師匠と任務に行って帰ってきたのは夜中の1時だった。ギリギリ日帰りではなかった…

家に鍵を開けて入ると、

「桐流。こんな夜遅くまでどこ行ってたんだ?」

なぜか父さんが起きて待っていた

「……」

これは無言しかなかった。リビングの照明が一つついているだけの薄暗い部屋、しんとした空気が漂う。

「…尊くんから、電話があってな、今日はゲームの打ち上げで二人で食べてたら、桐流が腹を壊したから、帰宅が夜遅くなる。と言っていた。帰らないなら、お前が直接連絡しろ」

「はい。」

父さんは夜遅くまで出かけていたことは怒らなかった。

ただ、連絡を入れなかったことに怒った。

「桐流。今日美代に会わなかった分、今度会ってもらうからな。あと、1か月小遣い無しな」

「…そんなっ…」

わかってたけどやっぱりきつい…

「わかっていてすっぽかしただろ、罰だ」

「…はぁい…じゃあ父さんおやすみ」

明日も学校があるので、寝ることにした


「ひょ……」

朝起きたら、筋肉痛だった、なんで…

そのままのそのそ学校へ行く準備をして、いつもの坂を上っていた。

「きりゅ~!」

「…」

「あれ?どーした?今日はいつもに増して元気ないね~」

「……お前が元気すぎる…」

「さては、昨日フラれたな?」

「いや…そういうわけじゃなくて…」

「じゃあ?」

さすがに暗殺してて筋肉痛になりましたなんて言えないしな…

「…秘密」

「やっぱり!フラれたのか!?」

「…今日は尊相手でも言わないよ」

「…桐流のケチ…」

「ケチじゃないし。ほらほら、遅刻するよ」

ちょっと教えられない話なだけだよ…


休み時間

「なぁなぁ桐流、昨日何時に帰ったんだ?」

「やっぱり気になる?」

「あぁ」

「夜中の1時!」

ピースサイン付きで言った

「桐流の父さん怒らなかったか?」

「…連絡しなかったことに怒られた」

「帰ってくるのが遅かったことは?」

「ん~何も」

さすがにね~

「…マジか…」

「その代わり、今度その再婚相手に会いに行かないといけないのと、1か月小遣い無し…」

「うわぁ…」

「でしょ~。あっ尊もうチャイムなるよ~」

「あっ次担任の数学じゃん…めんどくさ~」

「あ~~でも俺数学さぼってもテスト100点だもん」

「はいはい。数学出来る人はいいですね~」

ふへぇ


キーンコーンカーンコーン


「じゃあ、放課後」

「ん~」


放課後

「尊」

「わっ、学校で桐流から話しかけてくんの珍しい?」

「それは、尊が覚えてないだけなのでは?」

「そういうことか」

ちょろかった

「で、本題なんだけど…」

「どーした?」

「明日さ、再婚相手の人に会いに行かないといけないんだけど、一緒に来てくれない?」

「…桐流がいいなら…?」

「よしっ決定!!じゃあまた明日~」

「今日は!?」

「用事あるから無理!」

今日も師匠に会いに行くんだ。ノエルの情報を聞くために!!


「師匠!!!」

「…ぉ…桐流くん…」

「…どーしたんですか?」

「いや…ちょっと昨日…あぁ…それより、ノエルの情報だね」

「…無理そうなら、出直しますよ…?」

「いや、いいや。ノエルについて教えるよ。ノエルはね、僕と同じ師匠で育った、弟子。僕が一番弟子でノエルが二番弟子。

2人とも、異能を持っていてね、僕が、証拠を消して捏造する異能。ノエルが、人を苦しませて殺して残酷死させる異能。

向いてなかったんだよ、ノエルの異能はそしてノエルは我を忘れて、…人を苦しませる殺し屋になった」

…ちょっとひっかがるところが…

「…異能って何ですか?」

「………………」

説明し忘れた…という顔をして

「そうだった…説明してなかった…桐流くん知りたい?」

「はい。もちろん」

「…この世の中にはね、異能力者という異能を持った人たちがいるんだ。その人たちは、隠したり、おおっぴらに使ったり、人によって違うんだよ。

そして…その人たちは、自分の異能が生かせる職場につく。治癒系の異能だったら、治癒師か医者らへん。攻撃系、隠滅系、防御系は暗殺者。あきらめたやつが殺し。

っていう感じで、似たような異能はあっても、同じ異能は世界に存在しないんだ」

…異能って結構…大変なものなんだな…

「そして、桐流くんにも異能がある。」

えっ

「本当ですか!?」

「そう。でも、新しい異能力過ぎて詳細がわからない。僕でも、異能トップの機関でも」

「…えっ…」

「だからね~桐流くんは実戦も受けたし一人前…とまではいわないけど半人前じゃないし、4分の3人前ってところかな。だから桐流くんはもう、ランク異能使いの暗殺者だよ」

「……」

「だから実戦これからバンバン出てもらうよ!…もちろん報酬はあるからね」

「…本当ですか…!」

「そうだよ~お金の時もあれば情報の時もあるよ~」

情報…!!

「わかりました!」

「じゃあまた明日~」

…あっ

「…師匠明日は少し用事が…」

「おっじゃあまた明後日~」

「また明後日。」


明日は波乱の日になる

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