第8話~仕事と約束~

水曜日、師匠と、約束した日から2日後。

通学路で俺は…逆に生き生きしていた。

「きーりゅう!!」

上り坂で尊が脅かしてきた。

「おはよ~、尊」

尊がぎょっとした顔をして

「どーしたの?桐流。元気がありすぎて怖いんですけど…」

いつもどおりなんだけどな…

「ん~?いつもどおりじゃない?…あっそういや、来月お小遣い無いからさ、遊びは勉強会にしよ~」

「…桐流がお小遣いないなんて珍しいな」

「それがね…父さんが今日、再婚相手の美代さん?に俺を会わせたいらしく、今日は早く帰ってこいっていうんだよ…」

「今日?じゃあ帰ればいいじゃん」

「それが~今日大事な用事があるんだよ~。俺父さんすっぽかしてその予定に行くつもり」

「…そういうことね」

「そう。理解が早くて助かるよ~。じゃあ早く教室行こうか、遅刻になるよ」

「…担任だりぃ…」

「そんなこと言わない…」

俺も実は内心、早崎先生はめんどくさいなと思っているけど…


放課後

「…なぁ、桐流。今日もし、桐流の父さんから電話でここにいないか?って聞かれたらなんていえばいい?」

「なんで聞かれると思うんだ?」

「…俺の勘。」

…よく当たる、尊の勘か…

「じゃあ、いるけど桐流はおなかを壊してるので無理ですっとでも言っといて…。まぁ、俺が尊と遊んでるってことにしといてくれたら…」

「わかった。楽しんで来い」

「尊ってさ、俺がどこに行ってるか知らないくせによく協力してくれるな…」

「…?女でしょ?それか、バイト」

「…バイトは絶対にない。中学生だぞ?」

あっという顔になってから、にひ、と笑って

「…じゃあ女だ」

「なんでそうなるんだよ!!」

「…否定しないから…?」

「もう、女でいいや…」

「…認めたな?というか時間大丈夫?」

「あっ。行ってくる!よろしく!今度絶対に、埋め合わせする~」

「おっじゃあ新しくできたカフェのパフェ!!」

「…考えとく!」

ちゃっかり高いものねだって…言い出しっぺ俺だけど…てかよく甘いものそんなに食べれるな…


そのままダッシュで約束の場所に行く。


「おっ桐流くん」

「師匠。こんにちは」

「用意できてる?」

「そのまま来ました」

絶対そうだと思った、という顔をされて

「じゃあ、こっちの用意できてるから行こうか」

「はいっ」


「これが拳銃、そしてこれがスタンガン、5メートルは伸びるよ。あと、刀。桐流くんはどっちがいい?」

…伸びるスタンガンとは?

「悩むんだったら最初は練習した拳銃がいいと思うよ。あとは護身用にスタンガン。刀は難しいからね」

「じゃあ拳銃とスタンガンでお願いします」

「りょーかい。あっちなみに、実戦、戦ってもらうから。そのつもりでよろしく」

「はい。」


そして、戦いは幕を開けた

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