キラさん

第19話

「まじで。めんどくさい」



「瑞穂、厄介な人達に引っかかったわね」



バイト中、同い年の友達である茜に昨日の出来事を話した。



駅前のコーヒーのチェーン店で働いており、丁度お客さんがひいたので、2人で溜まった食器を洗う。





「イヤなことがあったら遠慮なく私に愚痴ってね。」



「どーも。そしたら毎回聞くことになっちゃうけど」



茶髪でミディアムパーマの彼女は可愛い容姿なのに、性格が割とあっさりしてて、そのギャップが好き。



このバイトを始めた頃からすぐ仲良くなって、今では私の学校の様子を知っている気の許した子。












「お疲れー。今度は土曜だね。」



「うん。そうだね、お疲れさまー」



バイトが終わり、茜と店を出て、すぐ別れた。



大通りを抜けて、住宅街を歩く。

21時は過ぎているので、ここら辺はいつも静寂している。





あー、学校めんどくさいな。

いつもそうだけど、明日は特に嫌だ。だって、龍牙とお姫サマに会わないといけないし。



なんて思いながら、1人てくてくと家に向かってると、いつもの小さな公園が見えた。




「あ…」



家にオレンジジュースないじゃん。

智くんに最後の一杯飲まれたんだった。どうせ買ってきてないよね。



と身体は勝手に公園の中に入って、自販機の前に立ち止まった。




「えー、オレンジないし。…カルピスでいっか。」



ブツブツと文句を垂らしながら、カルピスの缶を取る。



ひんやりとしたそれを感じながら、さぁ、帰ろ。と振り返ると、入り口から誰かが入ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る