第10話

朝、教室に入る。


みんな友達とわいわい騒いでいて、私に気付く者はいない。



いや、気付いているが話しかけないだけか。



いつからだっけ。あ、そっか。去年の冬の時期だ。



それまでは友達はいた。でも、友達といってもどこかよそよそしくて、中々馴染めなかった。


気が合わなかったってのもあったかもしれないけど、きっかけは友達の好きな人が私のことが好きだったらしく。それが気に入らなかっただけ。



噂が噂を呼んで、あることないこと言われて、今じゃあハブられ者。




ひどいとか悲しいってよりかは虚しかった。


違うって言っても耳を傾けてくれないし、コソコソ言われる。



だんだん疲れちゃって、なんかもういいや。ってなって弁解するのもやめた。



よくよく考えば、例え仲が戻っても、その友達とずっと一緒にいることもなかっただろうなって思った。



今は時間が経ったから、陰口を言われることもなくなったし、このクラスにいじめられることもない。



ただ、いるだけ。




それで、そのまま残りの学校生活を静かに送るつもり、だったのに。




まさかこの後、あのお姫サマとあの人達と関わるなんて思いもよらなかったのだ。

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